和歌山県アドベンチャーワールドからのパンダ大量返還発表は、日本中に衝撃を与えました。来年には上野動物園からもパンダが返還予定で、日本は「ゼロパンダ」時代を迎える可能性があります。本記事では、中国のパンダ外交と、日本からパンダが消える背景にあるものに迫ります。
相次ぐパンダの中国返還:和歌山と上野の状況
和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドは、これまで合計20頭を飼育してきましたが、4月下旬に4頭全てを6月末に中国へ返還すると発表しました。これにより、同園のパンダはゼロとなります。
竹を食べるジャイアントパンダ
また、東京の上野動物園からも、2021年生まれの双子パンダ、シャオシャオとレイレイが来年2月に返還される予定です。この動きが続けば、日本は来年にもパンダが全くいない「ゼロパンダ時代」を迎えることになります。
中国に返還される可能性のある若いパンダ
「国宝」パンダと中国の戦略「パンダ外交」
中国の「国宝」であるパンダは、かつて絶滅の危機に瀕しましたが、保全活動でリストから外れました。中国政府は1940年代からパンダを外交ツールとし、特に1972年の日中国交正常化以降、日本へも政治的な意図をもって貸与してきました。
中国の国宝、ジャイアントパンダ
パンダの貸与や返還は、二国間関係に左右されます。2023年には、米国の動物園のパンダの健康状態が米中関係に影響を与えそうになった事例もあります。
日中関係と「ゼロパンダ」の可能性
アドベンチャーワールドからの突然の返還理由は不明ですが、現在の日中関係の状況と無関係ではないとの見方もあります。新たなパンダの貸与は期待しにくい状況です。
相次ぐ移動に疲れたパンダたちが、「中国に来て見てほしい」と感じていても無理はありません。
日本からパンダが姿を消していく現状は、単なる動物ニュースに留まらず、中国の外交戦略や現在の日中関係の複雑さを映し出しています。「ゼロパンダ」時代の到来は、今後の両国関係を占う指標ともなるでしょう。
参考:ニューズウィーク日本版ほか