2024年春ドラマ ベスト5選出か 注目のフジ系作品『続・続・最後から二番目の恋』を専門家が高評価

2024年4月に放送が開始された春ドラマは、当初、話題作が少ないとの見方もあった。しかし、実際に蓋を開けてみると、深みのある優れた作品が多く見受けられる。今回は、テレビ業界での取材経験30年以上、ドラマ賞や映画賞の審査員も務めた放送コラムニスト、高堀冬彦氏が選ぶ現時点でのベスト5候補から、特に注目すべき1作に焦点を当てる。

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選出された注目の1作:フジテレビ系『続・続・最後から二番目の恋』

ベスト5の候補として挙げられた作品の一つが、フジテレビ系のドラマ『続・続・最後から二番目の恋』だ。このロマンチックコメディは、2012年に第1作が制作され、今回は実に11年ぶりとなる第3弾として帰ってきた。

主演は小泉今日子氏(59歳)と中井貴一氏(59歳)。小泉氏演じるのは、鎌倉市に住むテレビ局のドラマプロデューサー、吉野千明。一方、中井氏が扮するのは、同じく鎌倉市職員の長倉和平だ。この基本的な設定はシリーズを通じて一貫している。

時間の経過が描く登場人物の変化

第1シリーズで45歳だった千明は、今回の作品では59歳となり、定年退職を1年後に控えている。かつてのような強気一辺倒だった40代とは異なり、人生の節目を前にした焦燥感を抱える場面も見られる。例えば、第5回では、退職金を出資させる「出資詐欺」の標的にされる。この出来事に対し、千明は侮られたことへの強い悔しさを感じる。

一方、和平も50歳から63歳になった。既に定年を過ぎ、現在は再任用制度を利用して観光推進課の指導監というスタッフ職に就き、比較的平穏な日々を送っている。とはいえ、彼にも心穏やかではいられない瞬間がある。かつての部下である観光推進課課長の田所勉氏(松尾諭氏)から「長倉君」と呼ばれるたびに、内心イラッとする様子が描かれており、これは多くの視聴者が共感できる感情だろう。

人生の黄昏時に訪れる新たなときめき

千明と和平は人生の黄昏時を迎えているが、胸ときめくような季節が完全に終わったわけではない。千明は、地元の開業医である成瀬千次氏(三浦友和氏)から好意を寄せられている。成瀬氏は、亡くなった妻と千明が瓜二つであると感じている。

和平もまた、仕事を通じて知り合った通訳アルバイトの早田律子氏(石田ひかり氏)に急接近される。律子氏もまた、夫に先立たれた経験を持つ。

そして何よりも、千明と和平は互いにとって常に気になる存在であり、深く大切に思っている。その関係性は、もはや家族のようだ。今後の展開として、この家族のような関係を維持していくのか、それとも新たな関係へと進んでいくのかが注目される。

俳優と共に年を重ねるキャラクターの魅力

長期シリーズのドラマは少なくないが、多くの場合、登場人物の年齢は固定されがちで、演じる俳優だけが年を重ねるという状況が見られる。『最後から二番目の恋』シリーズのユニークな点は、出演者と共に登場人物も年齢を重ねていることだ。これにより、物語が単調になることなく、より豊かに膨らんでいる。

作品の根底に流れる「人生は素晴らしい」というメッセージは、シリーズを通じて変わらずに描かれている。

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