元NHKのフリーアナウンサー膳場貴子氏(50)が、8日にMCを務めたTBS系「サンデーモーニング」(日曜午前8時)に出演し、現在問題となっている米価格高騰の背景にあるとされる米流通の「ブラックボックス」について自身の見解を示した。
サンデーモーニングに出演する膳場貴子アナウンサー。米価格高騰と流通問題について発言した際の様子。
番組では、小泉進次郎農水相が米流通における集荷から卸、小売、消費者への流れの遅さを指摘し、これが課題となっていることに言及したVTRが放映された。また、米価格高騰の一因として、米の集荷を担うJA全中が備蓄米の供給を出し惜しみしているとの声があることに対し、JA全中の山野徹会長が6日の会見でこれを否定した主張も伝えられた。さらに、小泉農水相が米の緊急輸入にも踏み込み、米全体の価格安定に意欲を見せている状況も報じられた。
小泉農水相の問題提起と関係者の反論
小泉農水相は国会答弁で、一部の卸業者の営業利益が前年比で約500%に達していることに触れ、米流通が「ブラックボックス化している」との認識を示していた。これに対し、番組が取材した米卸業者は、「卸業者それぞれ状況が違う。光熱費、人件費、物流コスト、資材などあらゆるものが高騰しており、それが価格に転嫁されている」と、価格上昇の要因がコスト増加にあると反論した状況も併せて報じられた。
膳場氏と専門家による分析
これらの報道を受け、膳場氏は「米価格高騰の要因として、卸業者がやり玉に挙げられるような形になっていますけれど、問われるのは、国がどう農政を担っていくかだと思うんですけれど」と指摘し、問題の本質が国の農政にあるのではないかとの見解を示した。
見解を求められた元村有希子・同志社大特別客員教授は、「農政の怠慢という人災の結果が、今につながっている」と述べ、現在の状況は長期的な農政の失敗によるものだと断じた。さらに、「選挙が近いから、政治的な思惑で動くような動きもあるけれど、ここは腰を据えてちゃんと考えた方がいい」と、短期的な政治判断ではなく、根本的な対策の必要性を強調した。元村氏は、日本の食卓を支えるためにも「国の安全保障の1つとして主食をまかなう体制を立て直す必要があると思っています」と、食料安全保障の観点から主食である米の供給体制強化の重要性を訴えた。
これらの専門家の意見に対し、膳場氏は「誤解を恐れずに言うと、お米という主食は国民の生命線でもあるわけですからね…」と応じ、米が国民生活の基盤であり、その価格高騰や流通問題が国民全体の生命線に関わる重大な課題であるとの認識を改めて示した。
結論
今回の「サンデーモーニング」での議論は、米価格高騰の原因が単なる流通の一部にあるのではなく、国の農政のあり方や食料安全保障といったより広範な課題に根差している可能性を示唆した。小泉農水相による流通「ブラックボックス」への言及は一側面を捉えているものの、JA全中や卸業者からはそれぞれの立場からの事情が語られ、問題の複雑さが浮き彫りとなった。膳場氏や専門家が指摘するように、主食である米の安定供給体制の再構築は、国家的な安全保障として喫緊の課題と言えるだろう。