大学受験は、多くの10代にとって人生における最大のイベントの一つです。残念ながら、現在の日本では、いわゆる「いい大学」に進学することが、望む職業に就ける確率を高め、将来の選択肢を増やす傾向にあります。それほどまでに、大学受験が持つインパクトは大きいと言えるでしょう。このような難しい時代においても、「自分らしい大学進学」を実現するために、書籍『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』が刊行されました。本書は、きれいごとを抜きにして、「大学受験とはどういうものなのか」「人生とはどういうものなのか」を深く考えるきっかけを提供する、まさに受験の決定版です。本記事では、発刊を記念して、著者であるびーやま氏への特別インタビューをお届けし、多くの受験生や保護者が関心を寄せる「推薦入試」と「一般入試」の違いについて掘り下げます。
推薦入試組と一般入試組の最大の違いとは?
大学入試のテーマでしばしば議論されるのが、「推薦か一般か」という選択肢です。この両者には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
びーやま氏は、両者の間に存在する最も大きな違いとして「学力差」を挙げます。推薦入試組が絶対的に学力が低いわけではないと前置きしつつも、一般入試組に比べて劣る傾向がある、というのが氏の見解です。
「学力差」はなぜ生まれるのか? テストの性質の違い
では、なぜこのような学力差が生じやすいのでしょうか。推薦入試組も学校の定期テストで高得点を取る必要があり、一見すると学力が高いように思えます。
びーやま氏は、その理由として2点を指摘します。1つ目は、学校の定期テストと大学入試が持つ性質が根本的に違うということです。
定期テストは、授業で習った内容をどれだけ覚えているかを確認することを目的としています。そのため、教科書やノートに沿った問題が中心であり、授業をきちんと理解していれば80~90点程度は取得可能です。これは主に「暗記型」の学力を測るものです。
一方、大学入試、特に難関大学の入試では、範囲があるようでないに等しく、教科書レベルをはるかに超えた問題が当たり前に出題されます。これらの問題を「初見」で解くためには、単に知識を覚えているだけでなく、自分の持つ知識を総動員し、論理的に思考して問題を解決する能力が求められます。これはまさしく「思考型」の学力を測るものです。
大学受験のイメージ画像。推薦入試と一般入試の違いを考える学生たち
このように、テストが持つ性質の違いが、推薦組と一般組の学力に違いとなって現れると考えられます。どちらの学力が優れているという話ではなく、「大学入試で求められる学力」という意味では、一般入試組に分があると言えるかもしれません。
決定的な差を生む「プレッシャー経験」の有無
びーやま氏が挙げる2つ目の理由は、「真剣勝負のプレッシャーの中で勉強したかどうか」という点です。やや精神論のように聞こえるかもしれませんが、「落ちるかもしれない」という極限のプレッシャーの中で行う勉強は、その集中力や効率が格段に高まり、学力を大きく伸ばす効果があると言います。
推薦入試組も優秀であることは間違いないものの、多くのケースで夏や秋以降に合格が決定し、一般入試のような緊迫したプレッシャー環境から解放されます。このノンプレッシャーの環境が、その後の学力や精神的な成長に少なくない影響を与える可能性があると、びーやま氏は指摘しています。
びーやま氏のインタビューからは、大学受験における推薦入試と一般入試の間には、単に試験科目や合否判定の方法だけでなく、求められる学力の種類や、受験生が経験する精神的な側面において、明確な違いが存在することが浮き彫りになりました。これらの違いを理解することは、受験生が自身の適性を見極め、「自分らしい」進路を選択する上で非常に重要な視点となるでしょう。