2025年4月の新車販売台数ランキングにおいて、トヨタのコンパクトSUV「ライズ」が10位に、コンパクトミニバン「ルーミー」が11位にそれぞれランクインし、販売がV字回復を見せています。ダイハツの認証不正問題の影響により、2023年4月以降、ダイハツは2024年5月まで国内全工場の稼働を停止していました。ダイハツが生産を担当するライズとルーミーも、この間は一時的に販売が停止される事態となりました。しかし、ライズは2019年、ルーミーに至っては2016年の登場以来、フルモデルチェンジが行われていません。すでにモデル末期とも言えるこれらのモデルが、なぜこれほど堅調な販売を維持できているのでしょうか。
販売回復の背景にある「コスパ」と「納期」
最近のライズとルーミーの販売状況について、ある販売店関係者はその理由を次のように説明します。「ライズとルーミーが安定して売れ続けている最大の要因は、そのコストパフォーマンスの高さ、つまり価格の安さにあると考えています。例えば、ライズの車両価格は180万700円からとなっており、これはトヨタのSUVラインアップの中で最も手頃な価格設定です。一方、ルーミーは174万2400円からという価格で、商用での利用が多いヤリスのエントリーグレードや、カローラ アクシオ、カローラ フィールダーといったモデルと同等の価格帯に位置づけられます。」
「確かに、ヤリス クロスのようなコンパクトSUVや、シエンタのようなコンパクトミニバンと比較すると、トヨタ独自のハイブリッドシステム(THS)が搭載されていなかったり、装備がやや簡素であるという側面はあります。しかし、主に街中での運転が中心で、『ハイブリッドの燃費メリットをあまり感じられない』『最低限の装備で構わないから、その分価格を抑えたい』といったニーズを持つお客様にとっては、ライズとルーミーは非常に魅力的な選択肢となっています。」
また、価格だけでなく納期も大きな要因だと指摘します。「どちらのモデルも、現在のところトヨタの他の人気モデルと比較して納期が比較的早いという特徴があります。2025年5月時点での納期は、ライズがおよそ3ヶ月程度、ルーミーは2ヶ月程度となっています。ヤリスやヤリス クロスが納車まで6ヶ月程度かかる状況と比べると、納期を最優先されるお客様がライズやルーミーを選ばれるケースが少なくありません。」
2025年 新車販売で堅調なトヨタ ルーミーの外観
結論として、ダイハツの認証不正問題による生産停止という逆風があったにも関わらず、そしてモデルの古さにもかかわらず、トヨタのライズとルーミーが新車販売ランキングで上位に返り咲いた背景には、日本の消費者にとって魅力的な価格設定と、半導体不足などが続く中で比較的短い納期という、二つの強力なメリットが存在することが分かります。これらの要素が、特定のニーズを持つ顧客層に響き、安定した販売を下支えしていると言えるでしょう。