物価高対策、国民一律数万円の現金給付案 政府・与党が検討 税収増を財源に参院選公約化へ

日本政府・与党は、現在の物価高に対応するための対策として、国の税収増加分を財源とする現金給付の検討に入りました。この案では、所得制限を設けずに国民すべてに対して数万円を支給する方向性が浮上しています。夏の参議院選挙における公約の柱となる見通しで、自由民主党と公明党は具体的な支給額の決定に向けた調整を加速させる考えです。複数の政府・与党関係者が6月9日に明らかにしました。

税収増を財源とする現金給付案の背景

政府・与党は本年4月にも、トランプ米政権による高関税措置への対応や物価高対策として、国民一律3万円から5万円の現金給付を検討した経緯があります。しかし、この時の案は、数兆円規模の財源を確保するための補正予算案について、野党の協力を得る見通しが立たなかったため見送られました。また、自民、公明両党は、野党が主張する消費税減税についても、参院選公約に盛り込まない方針を明確にしており、来る参院選で国民に訴える「目玉」政策がないことへの不満が与党内で高まっていました。

今回の現金給付案は、2024年度における国の税収の上振れ分を原資とする方針です。2025年7月に確定する税収額は、数兆円規模の上振れが予想されており、これを財源として活用する考えです。

自民党役員会で物価高対策の現金給付案などを協議する党幹部たち自民党役員会で物価高対策の現金給付案などを協議する党幹部たち

給付額と所得制限に関する議論

与党内では、国民1人あたり数万円を給付する案が有力視されています。政権幹部からは、「所得制限を設けると給付までに時間がかかってしまう」との声が上がっており、「額は2万円以上は実現可能だろう」との指摘もあります。一方で、政府内部には、高額所得者については給付の対象から除外すべきだという意見も存在しており、現在、最終的な調整が進められています。

公明党の動きと今後の見通し

連立与党である公明党は、6月6日に発表した参議院選挙の公約の中で、税収増加分を国民に還元する「生活応援給付」を盛り込んでいます。公明党の斉藤鉄夫代表は6月9日、福岡市内での講演で、給付額について「数万円」を想定していることを明らかにしつつ、「最終的には自民党と協議しながら決定していきたい」と述べました。また、給付方法に関しては、迅速かつ消費喚起につながるよう「マイナポイントなどを活用し、消費に使ってもらいやすい形で給付する」ことを提案しています。

税収増を背景とした今回の現金給付案は、参院選に向けた重要な政策として、今後与野党間の議論の焦点となることが予想されます。具体的な給付額や実施方法について、政府・与党は引き続き調整を進める方針です。

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