米ABCニュースのベテラン記者、テリー・モラン氏が、ドナルド・トランプ前大統領とスティーブン・ミラー元大統領次席補佐官を強く非難する投稿をX(旧ツイッター)で行った後、同社から停職処分を受けたことが明らかになりました。これは、ジャーナリストによるSNS上での発言が物議を醸した最新の事例です。
Xでの物議を醸す投稿
モラン氏は投稿の中で、トランプ氏とミラー氏の「世界級の憎悪」について言及しました。トランプ氏に関しては、憎悪が「自身の栄光をたたえるという目標を達成するための唯一の手段であり、彼の精神的な糧だ」と述べました。一方、ミラー氏については、「憎悪を心の糧としており、それを食べて生きている」と激しく非難しました。この投稿は6月8日未明になされ、その後削除されています。モラン氏は過去にもホワイトハウスでトランプ前大統領へのインタビューを担当しています。
トランプ前政権のスティーブン・ミラー元大統領次席補佐官(右)と対談するABCニュースのテリー・モラン記者(左)
トランプ前政権からの反発と処分要求
これに対し、トランプ前政権の関係者らはモラン氏の投稿を強く非難し、ABCニュースに対し責任追及を求めました。ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官はXに「ABCに連絡を取り、テリーにどう責任を取らせるのか問いただしている」と書き込み、公然と処分を要求しました。また、FOXニュースの番組では、「このジャーナリストが停職か解雇になることを望む」と発言し、ABC側が「措置を講じる」と述べたと伝えました。
ABCニュースによる停職処分とその理由
その後、約1時間以内にABCニュースはモラン氏の停職処分を発表しました。同社広報は、モラン氏について「ABCニュースの報道は客観性と不偏性を重んじ、他者に対する主観的な個人攻撃は容認しない」と説明。「あの投稿はABCニュースの見解を反映しておらず、当社の基準に反する。結果として、さらなる検討を行う間、テリー・モランを停職処分とした」と述べています。
今回の件は、ジャーナリストが個人のSNSで政治家に対して強い批判を行うことの是非、そして報道機関の編集方針と個人の表現の自由との間の葛藤を浮き彫りにしています。ABCニュースは客観性・不偏性の維持を理由に停職処分としましたが、今後の展開が注目されます。