会社員から株式投資を始め、わずか5年で資産1億円を達成した「億り人」kenmo氏の投資手法が注目されています。元手300万円という比較的少ない資金からスタートし、追加資金の投入なしで大きく資産を増やした彼の戦略は、多くの個人投資家にとって再現性の高いものとして話題となっています。特に、資産規模の拡大に応じて投資アプローチを変化させていった点が、彼の成功の鍵を握っています。本稿では、kenmo氏の歩みと、彼の初期の資産形成を支えた「新高値ブレイク投資」を中心に、その成功戦略を探ります。
株式投資家 kenmo氏、5年で資産1億円を達成した成功事例を紹介
億り人 kenmo氏のプロフィールと資産拡大の軌跡
1982年愛知県生まれのkenmo氏は、東証一部(現・東証プライム)上場メーカーの研究員としてキャリアをスタートしました。社会人4年目の2011年、ボーナスで貯めた300万円を元手に株式投資を開始。会社員として働く傍ら独学で投資を学び、わずか5年後の2016年には資産1億円を達成しました。その後の資産も着実に増やし、現在では3億円に達しているとのことです。
特筆すべきは、株式投資開始から元手の300万円以外の追加資金を一切投入していない点です。資産3000万円を超えた段階で初期資金の300万円は出金し、それ以降は株式投資で得た利益のみで運用を続けています。
2018年には個人投資家の情報交換を目的とした『湘南投資勉強会』を設立。2023年には会社員を退職し、現在は企業のIR支援活動など、投資に関連する活動を精力的に行っています。初の著書『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』は10万部を超えるベストセラーとなり、その手法への関心の高さを証明しています。
資産規模に応じた投資手法の変遷とその理由
kenmo氏の投資戦略の最大の特徴は、金融資産の額が増えるにつれて、効果的な投資手法を使い分けていったことです。
初期の2年間は、元手300万円を「新高値ブレイク投資」によって3000万円にまで大きく増やしました。しかし、資産が3000万円規模になると、集中投資によるリスクの高まりが大きな懸念材料となったといいます。300万円であれば失っても会社員として働けば取り戻せますが、3000万円となるとそう簡単にはいきません。「せっかく3000万円まで来たので、このお金を失うわけにはいかない」という思いから、〝守り〟を意識する必要が出てきたのです。
そこで、彼は新高値ブレイク投資だけでなく、新たな投資手法を取り入れ始めました。資産3000万円から1年間で5000万円に増やした際には「株主優待需給投資」を、それ以降は「決算モメンタム投資」や中小型株への「中長期投資」なども駆使し、資産を着実に拡大させていきました。
このように、資産規模のフェーズによって、積極的に増やす「攻め」の手法から、リスクを管理しつつ増やす「守り」の手法へと、戦略を柔軟に変化させていったことが、彼の持続的な成功を可能にしています。
kenmo氏が実践した主要な投資手法の解説
kenmo氏がこれまでに実践してきた主な投資手法は以下の通りです。これらの手法は、株式相場や個別銘柄の「地合い」(値動きの状態)に応じて使い分けられています。
- 新高値ブレイク投資: 株価の最高値(新高値)を更新した銘柄を買い付け、さらに高値で売却することで利益を狙う手法。少額資金を短期間で効率的に増やすのに向いているとされます。
- 株主優待需給投資: 配当金や株主優待を得られる権利付き最終日に向けて株価が上昇しやすい傾向を利用し、権利確定前に仕込み、権利付き最終日までに売却する手法。特定の時期に需給の歪みが生じやすい性質を利用します。
- 決算モメンタム投資: 企業の決算発表をきっかけに株価上昇に勢い(モメンタム)がついた銘柄の、さらなる上昇を狙って投資する手法。好材料が出た後の株価の勢いに乗ります。
- 中小型株での中長期投資: 成長が期待できる時価総額の小さい中小型株に、時間をかけて投資する手法。企業の成長と共に株価の上昇を狙います。
最初の突破口:「新高値ブレイク投資」の詳細
kenmo氏が初期段階で採用し、資産拡大の突破口としたのが「新高値ブレイク投資」です。彼は、この手法が少ない元手を短期間で増やすのに最も理にかなっていると感じたといいます。
新高値更新銘柄の背景と特徴
「新高値」とは文字通り株価の最高値のことです。この新高値を更新した銘柄は、そこからさらに大きくブレイクアウト(急騰)するケースが多く見られます。その理由として、新高値をつけているということは、その銘柄を保有している投資家が全員含み益を持っている状態であり、焦って売却する必要性が低いことが挙げられます。売り手が出にくい一方で、新高値更新は何らかの好材料(新製品ヒット、業績拡大期待など)を織り込んでいる可能性が高く、新たな買い手を呼び込みやすいため、株価が勢いづきやすいと考えられます。
新高値には、年初来高値、上場来高値、過去1年間(52週)の高値など、様々な期間の定義があります。期間が長くなるほどその新高値の持つ意味合いは強くなりますが、該当する銘柄数は少なくなります。kenmo氏は現在、ほぼ1年間を対象とする「52週高値」でのスクリーニング(銘柄検索)を主に行っているそうです。この52週高値であれば、『株探』のような無料のウェブサイトでも簡単にスクリーニングが可能です。
kenmo氏流「新高値ブレイク投資」の実際
新高値ブレイク投資の基本的な考え方は、新高値を更新した勢いに乗って買い付けを行い、さらなる上昇局面で利益を確定することです。 kenmo氏もこの基本に沿って、主に52週高値を更新した銘柄を対象に投資を行いました。具体的な売買のタイミングや詳細なルールについては、彼の著書などで詳しく解説されていますが、重要なのは、トレンドに乗って順張りで攻め、利益を積み重ねていく点にあります。これは、相場が強い上昇トレンドにある際などに特に有効な手法と言えるでしょう。
まとめ:変化に対応する柔軟な投資戦略
kenmo氏の5年で1億円という驚異的な資産形成は、単一の手法に固執するのではなく、自身の資産規模や相場環境の変化に応じて最も適した投資戦略を選択し、柔軟に対応してきた結果と言えます。初期段階でリスクを取りつつも高いリターンを狙える「新高値ブレイク投資」で資産のタネ銭を大きく増やし、資産規模が拡大してからはリスク管理を重視しつつ、多様な手法を使い分けることで着実に資産を守りながら増やしていきました。
彼の成功は、再現性のある戦略に基づいています。特に、少額資金から資産を大きく増やしたいと考える投資家にとって、初期に「新高値ブレイク投資」のような効率的な手法で資産の突破口を開き、その後に資産規模に応じたリスク分散や他の手法を取り入れていくという彼のステップは、非常に参考になるアプローチと言えるでしょう。
参考資料:
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b29133c4bfa8299f83ba36b9f0d15649f305071