石破首相、衆院解散の機会を常に模索か ダブル選挙説の背景と支持率分析

日本の政界で現在最も注目されているのは、衆議院と参議院の同日選挙(衆参ダブル選挙)が行われるかどうかだ。日々刻々と情勢が変化する中、関係者の間からは「石破茂首相は、絶えず衆院解散の機会を狙っている」との声も上がっている。首相の脳裏には、8年前に安倍晋三元首相が断行し、予想外の成功を収めたあの解散総選挙があるのかもしれない。

目下、衆議院の会期末には野党が内閣不信任決議案を提出するのが慣例となっているが、今回は状況が異なると指摘されている。自民党と公明党は、昨年10月の衆院選で過半数を制することができず、少数与党に転落したとされる。石破茂内閣の支持率も芳しいとは言えない状況が続いていた。NHKの世論調査によると、トランプ米大統領と初めて会談した2月には、内閣支持率が44%で不支持率が35%と比較的良好だったが、3月には内閣支持率が36%と大きく下落。5月には政権発足後最低となる33%を記録するまでに至っていた。

しかし、NHKが6月9日に公表した最新の世論調査では、内閣支持率は39%となり、前回から6ポイント上昇した。これは、コメ問題で農林水産大臣を江藤拓氏から小泉進次郎氏に交代させたことによる効果だと見る向きもある。とはいえ、内閣支持率は依然として40%台には届いていないのが現状だ。さらに、6月の同調査における内閣不支持率は42%で、前月の48%からは改善したものの、依然として支持率を上回っている。もし仮に衆議院で内閣不信任案が提出され可決されれば、憲法の規定により、衆議院の解散総選挙となる公算が大きい。

鍵を握るのは、野党第一党である立憲民主党だ。衆院規則第28条の3によれば、内閣不信任決議案を発議するには、発議者に加えて50人以上の賛成者の連署が必要となる。この要件を単独で満たすことができるのは、衆議院で148議席を擁する立憲民主党だけだからである。

内閣不信任案提出への慎重姿勢

だが、立憲民主党の野田佳彦代表は、内閣不信任案の提出に慎重な姿勢を示している。6月6日の定例会見では、「どの党にも事前に話しながら進めていく」と述べるにとどまり、明確な言及を避けた。また、9日に行われた日本外国特派員協会での会見でも、「適時適切に、総合的に判断する」と述べるに留まった。同時に野田代表は、「ホップ・ステップ・ジャンプで政権交代を実現するため、昨年秋の党代表選に立候補した。実現できなかったら当然、代表を辞める」と述べ、自らに高いハードルを設定した。これは、安易な不信任案提出ではなく、勝てる見込みのあるタイミングを慎重に見極める意図の表れとも取れる。

表向きと水面下の動き

石破首相自身も、表向きは衆院解散を避けているかのような印象を与えていた。3日には産経新聞のインタビューに対し、「日々、現下の課題に全力で対応する。解散はどうしたこうしたと今議論する意味はない」と答えている。しかし、水面下では、衆院解散を強く意識したとみられる動きも確認されている。例えば、石破首相は4月3日午後に自民党本部を訪れ、森山裕幹事長ら党幹部と打ち合わせを行ったが、この場に党の選挙担当者が同席しており、衆院解散のタイミングについて話が及んだという情報がある。ある関係者は、「石破首相は、絶えず衆院解散の機会を狙っている」と証言している。

衆院解散論が高まる中で閣議に臨む石破茂首相衆院解散論が高まる中で閣議に臨む石破茂首相

前原誠司氏の証言

日本維新の会の前原誠司共同代表も、6月5日の会見で衆院解散の可能性について質問を受け、「(石破首相が)総理になられてから2人だけ、あるいは何人かの会合で何度かお会いしているが、一貫して総理はそうした発言をしておられた。不信任案が出れば解散するということをおっしゃっていたので、そこはぶれておられないのだろうと思っている」と語った。前原氏と石破首相は、ともに「鉄道」という共通の趣味を持つ親しい関係であり、よく一緒に飲みに行く間柄だという。前原氏が、かつて石破首相から「鳥取県に帰って知事になろうかな」と打ち明けられたエピソードを明かすほど、個人的な信頼関係があることが、この証言の背景にある。

これらの証言や状況証拠は、石破首相が公言とは裏腹に、衆院解散の可能性を常に視野に入れていることを示唆している。内閣支持率の動向、野党の出方、そして首相自身の政治的判断が、今後の衆院解散、あるいは衆参ダブル選挙の実現可能性を左右することになるだろう。政局は予断を許さない状況が続いている。

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