トランプ政権、不法滞在者数千人をグアンタナモ移送へ?同盟国と摩擦も

米国メディアは10日、トランプ米政権が近く、不法滞在者数千人をキューバのグアンタナモ米海軍基地に移送する計画を進めていると報じた。対象者には欧州の同盟国出身者も含まれ、出身国政府への通知なしに行われる見通しのため、各国との間で新たな軋轢(あつれき)が生じる可能性がある。

キューバ・グアンタナモ米海軍基地の施設(不法移民移送計画に関連)キューバ・グアンタナモ米海軍基地の施設(不法移民移送計画に関連)

不法滞在者の移送計画と詳細

今回の計画は、米国内で拘束された不法滞在者や外国人約9000人を対象としている。米紙ワシントン・ポスト電子版によれば、政権はこれらの人々がキューバのグアンタナモ米海軍基地での収容に耐えうる健康状態かどうかのチェックを進めている。対象者には、英国、フランス、イタリア、ドイツ、ベルギー、オランダ、ポーランド、トルコといった北大西洋条約機構(NATO)の同盟諸国に加え、ウクライナなどの出身者が含まれるという。

米大統領 ドナルド・トランプ氏(不法移民対策を主導)米大統領 ドナルド・トランプ氏(不法移民対策を主導)

グアンタナモ活用と移送計画の背景

トランプ政権が不法移民対策でグアンタナモ基地の活用を検討する背景には、移民・税関捜査局(ICE)による大量拘束で米本土の収容施設が深刻な不足に陥っている事情がある。さらに米ニュースサイトのポリティコは、テロ容疑者への拷問や虐待で悪名高いグアンタナモを利用することで、将来の不法移民を抑止する狙いもあると指摘。トランプ氏の側近であるミラー大統領次席補佐官は以前、FOXニュースで、政権目標として1日あたり3000人の不法移民を拘束することを明らかにしている。

米国内の移民収容施設(トランプ政権の収容施設不足問題)米国内の移民収容施設(トランプ政権の収容施設不足問題)

今回の報道は、トランプ政権による国境警備強化と不法移民対策が、国内の収容能力不足という現実問題に直面し、さらに同盟国との間に外交的な緊張を生む可能性を示唆している。今後の政権の動向が注目される。