6月10日放送の『サン!シャイン』で、俳優で司会者の谷原章介氏が「老害」という言葉の安易な使用に警鐘を鳴らし、フジテレビの内部状況に言及。「もう一掃されましたから」と発言したことが話題になっている。
サン!シャインで「老害」について語る司会者の谷原章介氏
番組での「老害」議論
番組中で谷原氏は、「老害」という言葉が、年長者が権力を持ち周囲に迷惑をかけるといった本来の意味を超え、自分たちより上の世代への不満を表す言葉として安易に使われる現状を問題視。「それを老害とかパワハラと言われると指導もできず、コミュニケーション不足になる」と指摘した。さらに、同局アナウンサーの宮澤智氏に「社内でも“ソフト老害”とか“老害”と感じることはありますか?」と質問。宮澤アナが回答に詰まる中、コメンテーターとして出演していた元放送作家の鈴木おさむ氏が「めっちゃいるじゃん、フジテレビ!」と応じると、谷原氏は「もう一掃されましたから」と断言した。
「一掃された」発言の背景と提訴方針
谷原氏が語った「一掃された老害」とは、日枝久元取締役相談役らを筆頭とする旧経営陣の退陣劇を指す模様だ。中居正広氏と女性アナウンサーを巡るトラブルなどを経て、日枝氏に加え、嘉納修治元会長、港浩一元社長、金光修元取締役、遠藤龍之介元取締役副会長らが総辞職に至った一件である。さらに、フジテレビは6月5日、港元社長と大多亮元専務を提訴する方針を固めたと発表。かつての身内を訴えるこの異例の対応は、自浄作用が働きつつあるという株主への強いアピールとされている。
フジテレビ旧体制のトップとされ、「天皇」とも呼ばれた日枝久氏
企業文化の根深さへの懸念
しかし、一連の問題が本当に一部の属人的な問題なのか、あるいはより根深い企業文化の問題なのかという懸念は拭えない。第三者委員会による報告書でも指摘された通り、ガバナンスの機能不全や人権軽視といった点は、長年の歴史の中で培われてきた企業文化に根差すものであり、決して一部の経営陣だけが原因ではないはずだ。企業文化そのものが根本的に変わらない限り、類似の事例が再び起こる可能性は否定できない。「一掃された」と過去のことのように語るのは、時期尚早ではないかとの指摘もある。
谷原氏の番組での率直な発言は、フジテレビの内部事情への関心を集めた。旧経営陣の刷新や元幹部の提訴など、表面的な変化は見られるものの、長年にわたり形成されてきた企業体質そのものが真に改善されたか、今後の動向が注視される。