【ワシントン時事】米ロサンゼルスの抗議活動への対処で強権を振るうトランプ大統領に対し、徹底抗戦するカリフォルニア州のニューサム知事(民主党)が脚光を浴びている。
野党民主党内では、かねて2028年大統領選の候補の一人に取り上げられてきたが、トランプ氏との激突でさらに存在感を高めている。
ニューサム氏は10日に演説し、デモ鎮圧のため一方的に州兵と海兵隊を動員したトランプ氏を痛烈に批判した。「トランプに屈するな」「カリフォルニアでは終わらない。次は他の州、ひいては民主主義だ」との呼び掛けは、次期大統領選を見据え、国民全体に宛てたメッセージと受け止められている。
闘志あふれる姿は支持層を歓喜させる一方、現状はニューサム氏にとって「政治的に危険な局面」(米紙)とも指摘される。州知事として不法移民に寛容な対応を取ってきたことで、政権による移民摘発強化の標的となった側面があるためだ。各種世論調査では、移民の強制送還を支持する声が過半数を占め、移民政策はもろ刃の剣となり得る。
トランプ氏や支持者は、民主党支持の強い「青い州」が犯罪者や不法移民を野放しにしてきたと批判する。米最大の青い州を治めるニューサム氏に「急進左派の象徴」のイメージが定着すれば、幅広い有権者の支持獲得は難しくなる。デモの対応にも繊細なかじ取りが迫られる。