あっちにもタワマン、こっちにもタワマン。気付けば日本の街はタワマンだらけになった。
それもそのはず。タワマンは2024年末時点で全国に1561棟もあるという。その土地の生活、景観、価値を大きく変えてしまうタワマンだが、足元には地元の人たちの生活圏がいまも広がっている。縦に伸びるタワマンではなく、横に広がる街に注目し、「タワマンだけじゃない街」の姿をリポートする。
今回は東京都江東区の東雲地区と辰巳地区を歩いた。人口分布や世帯年収などを探ると、大規模開発の答え合わせができる。
■タワマン群と団地群の対比が見える
東京メトロの辰巳駅(東京都江東区辰巳1-1-44)から地上に出て、辰巳桜橋の上に立つと、東雲(しののめ)地区の巨大なタワマン群が見える。
最初の印象は「風」だった。このあたりは埋立地で、運河が入り組んでいる。南に少し行けば東京湾だ。そこからの風が、歩きにくいほど吹きつける。
【画像23枚】パワーカップルの住むタワマンと、お年寄り中心の古びた団地…対照的な街「東雲・辰巳」エリアの様子
周辺をうろついた時間帯は、小学校の下校時間と重なっていた。辰巳地区にある江東区立第二辰巳小学校の子どもたちのグループが、橋を渡って東雲地区に向かっていた。小さな体が風に吹き飛ばされそうである。
長い橋を渡りきると、風はさらに強くなった。いわゆるビル風というものらしい。建ち並ぶタワマンの谷間では頻繁に起こる現象だ。
子どもたちは慣れているのか、キャーキャー騒ぎながら風を楽しんでいるように見えた。
この場所は、江東区の東雲地区と辰巳地区が辰巳運河を隔てて向かい合わせになっている。
運河に沿ってそびえる東雲のタワマン群の多くは「第二辰巳小学校」の校区だ。そこに住む子どもたちは、橋を渡って辰巳地区にある小学校に通う。
辰巳地区にはもうひとつ「辰巳小学校」がある。2つの小学校について比べてみる。
■タワマン地区、団地地区で生徒数は大きく異なる
第二辰巳小学校の校区は、辰巳1丁目の一部と、橋を渡った先にある東雲1丁目の主にタワマンが建ち並ぶ地域だ。一方、辰巳小学校の校区は辰巳1丁目の一部と、2丁目、3丁目である。面積からいうと、辰巳小学校のほうが第二辰巳小学校よりずっと広い。