大河ドラマ『べらぼう』「1200両で身請けされた花魁・誰袖」と「“春町文字”を生み出した恋川春町」の意外な末路


【写真】“春町文字”が生まれた『廓ばかむら費字盡』

■ 花魁「誰袖」を大金で身請けした人物

 今回の放送では、福原遥演じる誰袖(だれそで)花魁がキーパーソンとなった。

 蔦重にべたべたしては身請け(客が遊女の身代金を肩代わりし、自分の妻や妾にすること)をねだってきた誰袖だったが、田沼意次の息子・意知に一目ぼれすると、アプローチ先を変更。意知に近づいていき、松前藩の「抜荷(ぬけに)」、つまり、密輸を証明する代わりに身請けしてほしい、などと言い出した。

 前回の放送では、蝦夷地の開発をもくろむ田沼意次が、蝦夷に領地を持つ松前藩から上知(あげち:領地を召し上げること)を行おうとした。だが、強引なやり方を危惧した息子の意知が、父に「待った」をかけている。意知が「私が上知の理由に使えそうなものを調べてみます」と父を説得する場面があった。

 松前藩がひそかにロシア人と接触して、幕府のあずかり知らぬところで、物資のやりとりをしていることが分かれば、上知を行う格好の理由となる。そんな意知の状況を知った誰袖が、自身がスパイになることを提案。その見返りに身請けしてほしい、と言い出したのである。

 不審に思った意知が「なにゆえ、左様に私の身請けを望む?  吉原を出たいというなら土山(つちやま:詳細は後述)にねだったほうがよほど早かろう」と問うと、誰袖花魁は「わっちは…吉原一の二枚目好みにござんして」と言って意知を押し倒すと、さらに「このお顔を日がな一日眺めて過ごす身となりたいのでござりんす」とうっとり。意知が条件をのんだため、ここから誰袖が動き出すことになりそうだ。

 この誰袖は実在する花魁で、鳥山検校(とりやま けんぎょう)に身請けされた瀬川と同様に、大金で身請けされたことで話題となった。相手は、意知が名前を出した土山宗次郎である。



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