イスラエル、イラン核施設攻撃と要人殺害 極秘作戦の詳細明らかに

イスラエルは13日、イラン中部ナタンズなどの核関連施設に対し空爆を実施し、イラン軍の主要幹部や複数の核科学者を殺害した。これは、イスラエルの対外特務機関モサドと軍情報局が数年にわたりイラン国内で秘密裏に進めてきた作戦が実行された結果と報じられている。この攻撃は、イランの防空および情報網を回避して実行されたとされる。

攻撃の標的となった要人たち

殺害された要人には、イラン最高指導者に直属する革命防衛隊のサラミ司令官や、イラン軍のバゲリ参謀総長が含まれる。さらにイランメディアによると、大学学長を務める理論物理学者のテヘランチ氏を含む少なくとも6人の核科学者も犠牲となった。これらの標的は、イランの軍事・核開発プログラムにおいて極めて重要な役割を担っていた人物とされる。

作戦を可能にした背景と情報源

米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、複数のイスラエル政府関係者の話として、これらの要人殺害には「居場所や行動に関する詳細な情報」が不可欠だったと伝えている。中東の衛星テレビ局アルジャジーラ電子版は、殺害された科学者たちの自宅が攻撃で大きな被害を受けたことを報じ、イスラエルがイラン国内に協力者を浸透させ、標的の居場所を正確に把握・報告させていた可能性を示唆している。アルジャジーラは、カタールの専門家の見解として、これは「イランの指導者たちの居場所を正確に把握している、というイスラエルの明確なメッセージ」であると紹介している。過去には2020年にも著名な核科学者がテヘラン近郊で暗殺され、イランはイスラエルによる犯行と非難していた。

異例の公表とその戦略的意図

今回の作戦で特筆すべきは、イスラエル政府が13日に異例ともいえる軍事作戦の一部を公表したことだ。政府は、イラン国内で工作員がミサイル発射の準備を阻止し、イランのミサイル発射施設を破壊する様子の動画を公開した。当局者は、この公表の目的がモサドの高度な諜報能力を示すことで、イラン指導部の報復の意思を削ぐことにあると述べている。

多様な無力化手法の詳細

イスラエルのメディア報道によると、モサドなどの機関は、イランの攻撃および防衛システムを無力化するために主に3つの方法を駆使した。一つは、事前にイラン国内に搬送した誘導ミサイル兵器を遠隔操作し、イランのミサイル発射施設をピンポイントで破壊したこと。二つ目は、精密兵器を搭載した車両をイラン国内に運び込み、これにより防空システムを破壊し、イスラエル戦闘機による空爆を容易にしたこと。そして三つ目は、テヘラン近郊に秘密の「無人機(ドローン)の発射基地」を設け、自爆型無人機を用いて軍事基地内の地対地ミサイル発射施設などを攻撃したことである。

作戦成功の鍵とは

イスラエル当局者は、今回の複雑かつ大胆な作戦を振り返り、「思考面のブレークスルー(突破)、大胆な計画策定、そして特殊部隊や工作員のイラン国内への潜入」といった要素が不可欠だったと語っている。これは、高度な情報収集、周到な準備、そして実行部隊の能力が複合的に機能した結果と言える。

結論

今回のイスラエルによるイラン国内での一連の攻撃と要人殺害は、その諜報および軍事能力の高さ、そしてイランの核開発や軍事力に対する強い懸念を示すものだ。異例の作戦公表は、イランに対する明確な抑止メッセージとして機能する一方、中東地域の緊張をさらに高める可能性も秘めている。作戦の詳細から、イスラエルがいかに深くイラン国内に浸透し、複雑な手段を用いて標的を攻撃できるかが浮き彫りになった。

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