京都市のホテルで修学旅行生ら集団食中毒 ウエルシュ菌検出、営業停止命令

京都市保健所は13日、京都市中京区のホテル「ホテル杉長」で集団食中毒が発生したと発表しました。6月6日から8日にかけて宿泊した修学旅行生や教員ら合わせて106人が腹痛や下痢などの症状を訴えています。発症者の便からウエルシュ菌が検出されたことから、保健所はこの食中毒の原因を特定し、ホテルに対し13日から3日間の営業停止を命じました。

京都市中京区にある食中毒発生源となったホテル杉長の外観京都市中京区にある食中毒発生源となったホテル杉長の外観

食中毒発生の経緯と被害状況

京都市保健所によると、今月9日にホテルから「6日から8日に宿泊した中学校の修学旅行生40~50人程度が8日昼頃から腹痛の症状を呈している」との届け出がありました。これを受けて調査が行われた結果、6月6日から8日まで「ホテル杉長」に宿泊していた船橋市立中学校の修学旅行一行238人のうち、生徒97人(男性37人、女性60人)と教員等9人(男性4人、女性5人)の合計106人が、7日午後9時から9日午後10時までの間に食中毒症状を発症していたことが判明しました。幸いにも、発症者全員が快方に向かっているとのことです。

原因とみられる食事内容

食中毒の原因となった食品は、6月6日夕食から8日朝食までの間にホテル側が提供した食事に含まれていた可能性が高いとされています。具体的に提供されたメニューには、すき焼き、うどん、シチュー、サバの煮付けなどがありました。

  • 6月6日夕食:すき焼き、生卵、白飯など
  • 6月7日朝食:うどん、味噌汁、サラダ、出し巻き卵、赤魚の西京焼きなど
  • 6月7日夕食:サバの煮付け、ジューシーハンバーグ、肉厚トンテキ生姜焼き、湯葉煮、肉じゃがなど
  • 6月8日朝食:シチュー、味噌汁、出し巻き卵、サワラの柚庵焼きなど

調査では、発症者全員が当該施設で調理された共通の食事を摂取していたこと、症状の発生状況が類似していたこと、そして発症者7人の便から食中毒の原因菌であるウエルシュ菌が検出されたことから、今回の集団食中毒はホテルで提供された食事が原因であると断定されました。

ウエルシュ菌とは?特徴と予防法

ウエルシュ菌は、人や動物の腸管内や土壌など、自然界に広く存在する細菌です。特に酸素が少ない環境を好み、増殖します。この菌の特徴の一つは、熱に強い芽胞(がほう)を形成することです。これにより、100℃で加熱しても一部の菌は生き残ることがあります。

食中毒の原因となるのは、加熱調理された食品をそのまま室温で長時間放置し、菌が増殖することです。特に、カレーやシチュー、煮物など、大鍋で大量に調理され、温度がゆっくり下がる食品が原因となるケースが多く見られます。

ウエルシュ菌による食中毒を予防するためには、調理時の衛生管理を徹底することに加え、調理後の食品はできるだけ速やかに食べること、そして保管が必要な場合は小分けにして急速に冷却することが非常に重要です。これにより、菌が増殖しやすい温度帯(約20℃~50℃)にある時間を短くすることができます。

参照元:https://news.yahoo.co.jp/articles/e65b40ed48a007b6c6cef6213583deb0090a6dbe