イランは13日夜、イスラエルに対し約200発の弾道ミサイルなどによる大規模報復攻撃を実行しました。これにより死者も確認されており、両国の軍事衝突は一段と激化する可能性が高まっています。イスラエルは今後、より強力な対イラン攻撃を計画しているとみられ、中東地域全体が全面戦争の瀬戸際にあるとの強い懸念が広がっています。
イスラエル領内に飛来するイランのミサイルを迎撃する様子
イスラエルの防空能力と課題
イスラエルは「アイアンドーム」など3種類の多層的な迎撃システムを保有し、高い防空能力で知られています。今回のイランからの報復ミサイル攻撃では、発射されたミサイルの大半を迎撃することに成功したとみられますが、一部は迎撃網をすり抜け、イスラエル領内に着弾しました。
イランの報復攻撃に対応するイスラエルのアイアンドームシステム
イランのミサイル能力の現実
イスラエルは昨年10月にもイラン国内のミサイル製造施設を攻撃し、「目標は達成された」と主張していました。しかし今回のイランによる大規模攻撃は、同国が依然としてイスラエル全土を射程とする多数の弾道ミサイルを保有し、大きな打撃を与えうる能力を持つことを改めて示しました。
抑制なき応酬の局面へ
イスラエルとイランは昨年4月と10月にも攻撃の応酬を経験していますが、その際には双方に戦闘拡大を避ける抑制的なシグナルが見られました。例えば昨年4月には、イランが報復する計画はないと公言し、10月の応酬ではイスラエルが攻撃を事前に通告したとの報道もありました。しかし今回はそうした抑制が見られず、攻撃も単発ではなく、ドローンやミサイルを時間差で波状的に行う形で行われています。
緊迫する中東情勢を示すイメージ写真
イラン報復の背景と当局者の声
イスラエルによる4月1日のシリア攻撃は、イランの核関連施設に加え、イラン最高指導者ハメネイ師に直属する革命防衛隊の司令官や著名な核科学者、さらに多数の民間人を標的としました。イラン指導部は、これらの犠牲や国内世論を踏まえ、ある程度の規模で明確な報復を行うべきだと判断した大きな要因と考えられます。
イラン革命防衛隊の司令官に関連する写真
イラン政府当局者はメディアの取材に対し、「攻撃は始まったばかりだ。(イスラエルは)司令官や科学者を殺害した重い代償を支払うことになるだろう」と語り、今後も報復を続ける可能性を示唆しました。
今回のイランによるイスラエルへの大規模な報復攻撃は、両国間の軍事衝突を決定的に激化させました。過去に見られなかった直接的かつ大規模な攻撃は、中東地域全体が制御不能な全面戦争へと陥る現実的なリスクを伴います。極度に緊迫する情勢の中、今後のイスラエルの対応が最大の焦点となります。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/758fdb32cd72309c175ed9dd97fe40e233e6f9bb