イスラエルとイランの間で攻撃の応酬が続く緊迫した情勢下、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はイランに対し、さらなる攻撃があれば報復を行うと警告を発しました。中東地域の不安定化が懸念される中、両国間の緊張はかつてないほど高まっています。
イスラエルは現地時間13日、イラン国内の核関連施設および軍事施設に対して大規模な攻撃を実施しました。この攻撃により、複数のイラン軍幹部が死亡したと伝えられています。これに対し、イラン側も同日夜間から翌14日にかけて、イスラエル領内へ向けてミサイル攻撃を開始するなど、即座に報復措置を取りました。イスラエルのカッツ国防相は、イランがミサイル攻撃を継続するならば、イラン政府は「重大な代償」を支払うことになると改めて警告しました。
イランの国営メディアや革命防衛隊は、14日の攻撃がイスラエルの軍事拠点や空軍基地を標的とした報復であったと発表しています。特に、イスラエルが再び首都テヘランへの攻撃を再開したという報道の後、テヘランでは防空システムが作動したことが確認されました。ネタニヤフ首相はイラン国民に向けたビデオメッセージの中で、「立ち上がり、声を上げる」よう呼びかける異例の行動に出ています。
攻撃の応酬とその詳細
イスラエルによる13日の攻撃は、イランの重要な軍事および核関連インフラを狙ったものでした。この攻撃の結果、イスラエル政府はイラン軍の複数の高官を殺害したと発表しており、イラン側もこれを認めています。イスラエルは、この攻撃がイランの核開発プログラムや地域における影響力拡大に対する抑止力として行われたと主張しています。
これに対するイランの反応は迅速かつ強力でした。14日にかけて実施されたミサイル攻撃は、イスラエルの複数の軍事施設や、以前にイスラエルの攻撃の拠点となったとされる空軍基地に向けられました。革命防衛隊は、これらの攻撃が成功裏に行われたと発表し、イスラエルに対するさらなる報復の可能性を示唆しました。
被害状況と国内影響
一連の攻撃により、双方で死傷者が出ています。イランのイラバニ国連大使は、イスラエルの空爆によってイラン国内で少なくとも78人が死亡し、320人以上が負傷したことを明らかにしました。死者の中には、イラン軍の高官も含まれているとのことです。一方、イスラエル当局によれば、イランからのミサイル攻撃により、少なくとも3人が死亡し、数十人が負傷しました。
物的被害も報告されています。イスラエルの攻撃により、イラン南部にある世界最大級の天然ガス田である「サウスパースガス田」で大規模な火災が発生しました。SNS上で拡散され、CNNが位置情報を確認した動画には、ガス田から巨大な炎と黒煙が立ち上る様子が鮮明に捉えられています。
イスラエルのネタニヤフ首相が記者会見でイランに警告
イスラエル国内では、イランからのさらなる攻撃に備え、国民の安全確保のための措置が取られています。特に、テルアビブ近郊の医療施設では、万が一の事態に備え、患者を地下の要塞化された安全な場所へ移動させる訓練や実際の移動が行われています。また、イランの攻撃で負傷した患者の治療も最優先で行われています。
外交関係への影響
イスラエルとイランの軍事衝突は、国際的な外交努力にも影響を及ぼしています。オマーンで予定されていた米国とイラン間の核協議は、イスラエルによるイランへの攻撃を受けて急遽中止されました。オマーン外相がこの中止を確認しました。イランのアラグチ外相は、イスラエルの攻撃という状況下では、米国との交渉を継続することは「正当化できない」との見解を示しており、両国間の対話再開の見通しは不透明となっています。
この事態は、既に不安定な中東情勢をさらに悪化させる可能性が高く、国際社会は事態の推移を注視しています。両国間の緊張緩和に向けた外交努力が急務となっていますが、現時点では軍事的な応酬が続くリスクが高い状況です。
イスラエルとイランの直接対決は、地域の安定にとって極めて危険な展開であり、ガザ地区での紛争など他の懸念とも相まって、中東全体の平和と安全を脅かしています。国際的な仲介や圧力なくして、この軍事的なエスカレーションを止めることは困難であると考えられます。今後の両国の動向および国際社会の対応が注目されます。
参考:
https://news.yahoo.co.jp/articles/9789867e19978d5d68c30f4787caae39c1ea290d