国民民主党は今夏の参院選比例代表候補として、元衆院議員の山尾志桜里氏の公認を見送る決定をしました。これに対し山尾氏は党を批判する声明を発表し、離党届を提出。「山尾公認問題」は永田町外にも波紋を広げ、国民民主党の状況を示す騒動として注目を集めています。
国民民主党の参院選公認見送りを受け離党した山尾志桜里氏
公認見送り決定と党支持率の関連
国民民主党が山尾氏を参院選比例代表候補として擁立することを5月に発表して以降、各社が行った世論調査では、党の政党支持率に下落傾向が見られました。
この支持率下落について、ある政治部デスクは、玉木雄一郎代表の不倫スキャンダルが党勢に大きく響かなかったのとは対照的に、山尾氏擁立が報じられた途端、党の支援組織から強い反発の声が上がり始めたことを指摘します。特に、国民民主党を支持する比較的若い世代は、SNSなどのデジタルツールを通じて、それまで彼らが直接知る機会の少なかった山尾氏の「過去」、すなわち過去の政治スキャンダルに触れることになったのです。これが新たな批判を生み、党の支持率低下の一因となったと考えられています。
SNSなどで若い世代が知ることになった山尾志桜里氏の過去
過去のスキャンダル詳細とその影響
こうした党内外からの反発の代表的な例として、国民民主党と関係が深いカメラマン、堀田喬氏が、山尾氏を含む同党の公認候補(当時)4名に対して「汚物まみれ」と酷評した一件が挙げられます。周知の通り、山尾氏は衆院議員時代に既婚男性との不倫疑惑、そして元秘書によるガソリン代の不正請求問題が大きく報じられた人物です。
特にガソリン代の問題は、「地球5周分」、後に山尾氏自身が「9周分だった」と訂正するほどの巨額と報じられ、「ガソリーヌ」という不名誉なあだ名まで生まれました。これは、秘書が多額のガソリンプリペイドカードを大量に購入し、それをどこかで換金した上で、あたかも政治活動に使った経費であるかのように収支報告書に計上していたとされる疑惑です。報道後、山尾氏からこの問題の実態に関する明確な説明はなされなかったと広く記憶されています。
既婚男性との不倫疑惑についても同様で、当時の報道に対して山尾氏からの説明責任が十分に果たされていなかったとの批判的な印象が根強く残っています。これらの過去に報じられたスキャンダルと、それらに対する山尾氏自身の対応の不透明さが、今回の参院選における公認見送り騒動の大きな背景にあると言えるでしょう。
今回の国民民主党が下した公認見送りの決定と、それに続く山尾氏の離党は、同党が候補者擁立にあたって依然として過去の政治スキャンダルとその影響に直面している現実を浮き彫りにしました。今後の情勢は流動的ですが、この一件は国民民主党の抱える「情けない実態」、すなわち人材不足や過去の清算ができていない現状を示唆しているとの厳しい見方も出ています。