東京都板橋区の賃貸マンションで、物件を所有する中国人オーナーが突如として家賃を2倍以上に値上げし、4割の住民が転居する事態となった。背景には所有者による“民泊マンション化計画”があったようだが、「値上げ通知」は一般の物件でも広がっており、他人事とは思えない方も多いことだろう。都内マンションの販売価格を定点観測し続けるマンションブロガー「マン点」氏による2027年最新版、東京23区家賃予想のレポートをお届けする。
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値上げ通知に絶句する住人たち
いま、賃貸居住者の元に続々と「家賃値上げ」の通知が届いている。
「今日、自分の住んでる賃貸物件の家賃が月2.6万円値上げされるという通知が来た。引っ越し待ったなし」
「次回の更新で、家賃が年間12万円アップと言われ……。結論、合意はしませんでした」
「オーナーチェンジした新しい貸主から、家賃の値上げをしたいとの連絡が。しかも月1万5000円!」
これらはすべて、Xに投稿された賃貸居住者の生の声だ。こうした悲鳴の声は、SNSを覗けばそこかしこに転がっている。
これは遠い国の話ではない。これは、今この瞬間、実際に東京で起きていることだ。都心マンションの値上がりが叫ばれて久しいが、値上げの波がいよいよ家賃相場にも及んでいるのである。
東京23区の将来賃料を試算
このまま値上げがつづくならば、賃料はどうなるのか。予測に使ったのは、「東日本不動産流通機構」が公開している「首都圏賃貸居住物件の取引動向」である。対象は2015年第1四半期(以下、Q1)〜2025年Q1の10年間、全41四半期にわたる平均月額賃料(円/㎡)だ。
そこから東京23区の「年平均成長率」を導き出し、さらにインフレや金利、需給、外国人需要などの要素を加えて、未来の賃料をはじき出した。
予測の基本はシンプルである。過去の成長率に、今後想定される経済要因を足し合わせ、総合成長率とする。これを現在の賃料に複利で適用すれば、1年後、2年後の金額が算出できるという寸法だ。
変数は以下の通り。
・インフレ:+2.0%(物価上昇と建設費高騰)
・金利:▲0.5%(日銀利上げによる利回り圧縮)
・需給:+0.3〜1.0%(供給不足による価格押し上げ)
・外国人需要:+0.0〜0.5%(投資・転入増加)
内訳を表にすると、このようになる。