自民党内部調査で「ダブル選挙勝てる」? 進次郎氏のコメ対策で支持率回復、石破首相の戦略

会期末が迫る国会は、かつてないほどの緊張感に包まれている。少数与党である自公連立政権に対し、野党が内閣不信任案を提出すれば、否決するだけの議席数がない状況だ。これに対し、石破茂首相は「不信任案が出れば総辞職ではなく解散で臨む」という姿勢を示しており、事実上、衆議院解散の権限は野党第一党である立憲民主党が握っているかのように見える。しかし、立憲民主党の野田佳彦代表は、解散総選挙を恐れて不信任案の提出に踏み切れていないのが現状だ。

この膠着した政治状況の中、石破内閣の支持率が反転上昇を見せた。その最大の要因とされるのが、小泉進次郎氏が主導した政府備蓄米の「値下げバーゲン」、すなわち継続的な放出と価格引き下げ策である。この連日の「進次郎劇場」とも称される動きが、じり貧だった内閣への逆風を食い止めた形だ。NHKの世論調査で6ポイント、ANNでは6.8ポイントもの急回復を記録したことは、この政策の効果を如実に示している。

内閣支持率回復とダブル選挙論

内閣支持率の回復を受け、与党内では衆参同日選挙(ダブル選挙)への期待と待望論が急速に高まっている。「今衆参ダブル選挙をやれば勝てる」という声は、自民党内の様々な階層から聞かれるようになった。

この強気な見方の根拠の一つとされているのが、自民党が5月に実施した参議院選挙に関する内部情勢調査の結果だ。週刊ポストが入手した報告書「参議院選挙の情勢調査の概要」によると、予測される獲得議席数は自民党49議席、公明党12議席で、与党合計61議席を見込んでいる。これは現有議席からは減少するものの、非改選議席(自公合わせて75議席)を合わせると136議席となり、参議院の過半数である126議席を10議席上回ると予測されている。

内閣支持率回復の鍵となったとされる小泉進次郎氏の政府備蓄米に関する発言内閣支持率回復の鍵となったとされる小泉進次郎氏の政府備蓄米に関する発言

内部調査に基づく選挙対策

さらに、この報告書では選挙に向けた詳細な分析と対策が提案されている。「前回調査時より、自民党支持者や公明支持者は固まりつつありますが、無党派層の支持は逆に減っていますので、無党派層に響く目玉政策が必要です」と分析し、具体的な選挙対策として、米価対策(備蓄米の継続的な放出と米の更なる増産など)や物価高・トランプ関税対策としての現金給付など、7項目を提言している。

石破首相は、この調査結果を見て衆参ダブル選挙でも勝利可能だと確信を深めたと、首相側近は語る。実際、自民党と公明党は報告書の提案に沿う形で、6月10日の幹事長会談において「国民1人あたり数万円」の現金給付を参議院選挙の公約に盛り込む方針を決定した。この現金給付策は、今年4月に石破首相が一度バラマキ批判を受けて撤回した経緯があるが、参院選公約として復活させたことは、衆参ダブル選挙に向けた布石が着々と打たれている証拠と見て良いだろう。

結論

小泉進次郎氏による政府備蓄米の価格引き下げ策が内閣支持率を回復させたことを契機に、自民党内では衆参ダブル選挙への意欲が高まっている。リークされた内部情勢調査の結果も、自公両党が衆参両院で過半数を維持できる可能性を示唆しており、石破首相がこの調査結果を根拠にダブル選挙に自信を深めている状況だ。一度は撤回された現金給付策が選挙公約として復活するなど、政権与党はダブル選挙実施に向けた準備を着実に進めていると分析できる。国会会期末の政治情勢は、ダブル選挙の可能性を強く示唆している。

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