「あんぱん」戦争編の辛い描写、悲鳴あがるも視聴率が堅調に推移するワケ

NHK連続テレビ小説『あんぱん』は、今田美桜が主演、北村匠海が準主演を務め、国民的キャラクターを生んだ漫画家夫妻をモデルにした作品だ。現在放送中の「戦争編」では、目を背けたくなるような描写が含まれているにも関わらず、多くの視聴者がその展開から目を離せずにいるという。

NHK連続テレビ小説『あんぱん』準主人公 柳井嵩役の北村匠海さんNHK連続テレビ小説『あんぱん』準主人公 柳井嵩役の北村匠海さん

戦争編の背景と柳井嵩の経験

物語は1944年(昭和19年)7月を舞台に、柳井嵩(北村匠海)らが所属する小倉連隊が中国・福建省の奥地へ駆り出される場面が描かれている。嵩は当初、上等兵・八木信之介(妻夫木聡)のフォローもあり、理不尽な暴力を受ける機会は減った。しかし、入隊初期には見ていて辛い描写が続いた。

視聴者に衝撃を与えた理不尽な暴力

特に6月9日放送回では、嵩を含む新兵が古兵に顔を拳で殴られるハードな場面があった。嵩に至っては、しごきの一環として「戦闘帽泥棒」に仕立て上げられ、リンチを受ける描写も。これらの、当時の軍隊の理不尽かつ凄惨な現実を描いたシーンは、多くの視聴者に衝撃を与えた。

視聴者からあがった「辛い」「離脱したい」の声

こうした酷い展開に対し、SNSなどでは「軍隊も戦争もこういう理不尽な暴力の世界だったと死んだ父も言っていた」「しばらくこういうシーン続くなら離脱しそう」「それが当時のリアルな世界だったんだろうけど、朝から殴られっぱなしのシーンに離脱したくなるわ」といった、視聴者の悲鳴や「見るのが辛い」という声が少なくなかった。

「辛い」描写と裏腹の視聴率上昇

“見るのが辛い”という声は多い一方で、実は『あんぱん』の世帯視聴率はむしろ上昇傾向にある。同作は15%台を推移していたが、ここ最近は16%台の回が増加しているのだ。たとえば、第10週(6月9日〜13日)では、6月4日が世帯16.0%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)、5日、6日が16.2%を記録。第11週では、10日、11日が16.2%、12日が16.1%と、連日16%台を維持している。

リアルで目を覆いたくなるような戦争描写にもかかわらず、視聴者が物語に引きつけられ、視聴率が伸びていることは、『あんぱん』が描き出す「戦争編」の持つ力と、出演者たちの演技力が生み出す結果と言えるだろう。

参照元

https://news.yahoo.co.jp/articles/8fb822973c134dc4ad881560cfeb788406acefb6