「ひげの殿下」寛仁親王の「遺言」:皇族数確保論議の難航とその行方

6月6日、東京・豊島岡墓地では寛仁親王例祭 墓所祭が執り行われました。故・寛仁親王殿下は「ひげの殿下」として親しまれましたが、その残されたお考えは、現在の皇室における重要な課題、すなわち皇族数確保安定的な皇位継承を巡る議論に今なお影響を与えていると見られています。皇族減少が喫緊の課題となる中、与野党間で進められているこの皇位継承に関する議論は難航しており、その行方が注目されています。

皇族数確保の課題と宮内庁長官の訴え

皇室を構成する皇族方の人数が減少傾向にあることは、将来にわたり皇室がその活動を維持していく上で大きな課題となっています。この現状に対し、宮内庁の西村泰彦長官は6月12日の記者会見で強い懸念を示し、皇族減少が大きな課題であり、議論をしっかり進めるべきだと訴え、与野党協議の難航に苦言を呈しました。安定的な皇位継承に向け、与野党は(1)女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持するという案と、(2)戦後に皇籍を離脱した旧宮家出身の男系男子を、養子縁組により皇族として迎え入れるという案―という2案を軸に協議しています。当初、衆参両院の正副議長は、今国会中の成案取りまとめを目指しましたが、夏の参院選以降に見送られる公算が大きくなっています。

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議論停滞の背景にある麻生氏と「遺言」

この議論が難航する背景には、自民党内で「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の会長を務める麻生太郎最高顧問の強い主張があるとされています。麻生氏は、立憲民主党の野田佳彦代表が述べた「女性皇族案先行合意」の事実を否定しており、「多くの党が支持している養子縁組案を棚に上げ、取りまとめが行われることは不自然で、まかりならない」と強く訴えています。野田氏は、この状況について「ちゃぶ台返しであり、極めて遺憾だ」と述べ、自民党側の対応を厳しく批判しています。麻生氏のこうした強硬な姿勢は、「ひげの殿下」として知られ、男系による皇位継承を重んじる考えを持たれていた故・寛仁親王の「遺言」が影響しているとの見方があります。身分保持の問題は、当事者である女性皇族方の結婚など人生設計に関わる喫緊の課題であり、宮内庁内からも早期の結論を求める声が上がっています。静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次氏も、麻生氏の立場を含めた状況について分析を加えています。

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皇族数確保を巡る議論は、関係者の思惑が絡み合い、複雑な様相を呈しています。宮内庁は早期の結論を期待していますが、与野党間の溝は深く、特に麻生氏の姿勢が議論の大きな壁となっています。故・寛仁親王の「遺言」とされる考え方も影響を与えている可能性が指摘される中、この重要な課題に対する具体的な成案がいつ得られるのか、不透明な状況が続いています。国民の関心も高いこの問題について、今後の議論の進展が注目されます。

参照元

Yahoo!ニュース