6月12日、お笑いコンビ「ナイツ」の塙宣之氏が、創価学会青年部が運営するYouTubeチャンネル『創価学会の日常ちゃんねる』に出演し、創価学会支部長としての活動を公開したことが大きな話題を呼んでいる。
今回のYouTube出演は、創価学会青年部が運営するメディアサイト『soka youth media』のスタッフからの密着依頼によって実現した。動画冒頭、塙氏はスタッフに対し、この日も朝6時に起床し、午前7時から約1時間、「勤行」という創価学会員の基本的な日課を行っていたことを明かした。「すごい眠くてできないときもある」としつつも、「気持ちが大事」だと勤行への思いを語った。スタッフから「めちゃめちゃ創価学会員っぽい感じですけど、リスク的には大丈夫ですか?」と問われると、塙氏は「リスクしかないでしょ。こわいですよ、ホントに」と率直な気持ちを漏らした。著名人が自身の信仰を公にすることに伴うリスクを理解しながらも、今回の出演を決断した背景がうかがえる。
創価学会のYouTubeで学会活動について語るお笑い芸人ナイツ塙宣之
密着動画の中で、塙氏は芸人としての多忙な仕事の合間を縫って、学会員の自宅を訪問したり、若い学会員たちの懇親会に参加して彼らの悩みを聞いたりするなど、積極的に学会活動に取り組む姿を見せた。
創価学会員としての日常や思いを語るナイツ塙宣之氏の様子
なぜ、芸人として成功している今も学会活動を続けているのかという問いに対して、塙氏は自身の向上だけでなく、「究極の話、世の中が平和になってもらいたいみたいのもあるから、その部分がなかったら、ちょっとやれてないかもしれない」「学会のやってることはすごく理に叶ってるから」と、その動機を語った。番組は創価学会のYouTubeチャンネルであるにもかかわらず、「創価学会」をよく知らない視聴者の視点に立ったインタビュー形式で進行したため、塙氏がボケたり、スタッフにツッコまれたりするお笑い芸人らしい一面も見られた。
さらに動画の終盤、お酒が入った席で「創価学会とは?」と質問された塙氏は、世間にはあまり良くないイメージを持っている人もいるだろうと理解を示しつつ、「僕にとっては良いところです」と断言した。視聴者へのメッセージを求められると、「まあ、悪いところではないですから。お金なんてほとんど……ほとんどというか、お金なんてかかりませんから。いろんなネットの情報あると思うんですけども、あの全然……これ余計、怪しくない?」と自虐的なコメントで笑いを誘った。この日の密着は深夜1時過ぎまで及んだが、この後も日課の勤行をするのかと聞かれると、「もうやるわけないでしょ!」と強くツッコミを入れて締めくくった。
塙氏の創価学会員としての活動や、学会への思いを包み隠さず公開したこの動画が公開されると、ソーシャルメディア上には多くの反響が寄せられた。「ナイツ塙密着動画を結局全部観てしまった。これだけ学会活動をオープンにして芸能活動する人初めてだよな」「有名人が語る、創価学会員の日常。面白いと思いますよ。もちろん、笑いも含めての動画ですから、悪いイメージは持たれないでしょう」など、その姿勢を評価し称賛する声が多く見られた。
芸能ジャーナリストは、塙氏がこれほどまでに自身の信仰をオープンにできる理由について分析する。塙氏は創価大学出身であり、相方の土屋伸之氏も同大学の後輩で、共に創価学会員であることを以前から公表している。通常、イメージが重視される芸能界において、信仰している宗教を公にすることはリスクが伴うため、積極的に自身の信仰を語る芸能人は稀である。その点で、塙氏は異質な存在だと言える。2024年7月には、創価学会の機関紙である聖教新聞の連載『私の未来部時代』に登場し、高校時代から真剣に信仰と向き合うようになった経緯や、学生時代にお笑いの大学日本一を達成した際に「池田先生に喜んでいただけたことが、かけがえのない原点です」と語るなど、以前から信仰についてオープンな姿勢を見せていた。今回のYouTube出演に対しても反発が少ないのは、こうした長年の活動によって「創価学会キャラ」が定着していることが大きいだろうと分析されている。
創価学会にとって、塙氏のようなタレント会員は非常に貴重な存在である。世間からの反発を抑えつつ、学会の活動や日常に対する理解を広める「布教」の一助となる可能性があるからだ。最近では、タレントの鈴木奈々氏や、加藤茶氏の妻である加藤綾菜氏なども自身の信仰を公言するなど、芸能界で創価学会員であることをオープンにする動きが見られる。創価学会名誉会長の池田大作氏が亡くなってから約2年が経過した現在、こうしたタレント会員たちの活躍が、組織の求心力を維持する上で重要な役割を果たしていると考えられている。塙氏の今回の行動は、長年の弛まぬ努力と、自身の信念に基づいた結果と言えるだろう。