トランプ氏、イラン最高指導者ハメネイ師に言及「容易な標的だが、今は殺害せず」 – 無条件降伏を要求

[ドバイ/エルサレム 17日 ロイター] – ドナルド・トランプ米大統領は17日、イランに対し「無条件降伏」を呼びかけ、米国の忍耐は限界に近づいていると強く警告した。同時に、イランの最高指導者であるアヤトラ・アリー・ハメネイ師を殺害する差し迫った意図は「今のところ」ないと述べ、世界的な注目を集める中東情勢に関する厳しい姿勢を改めて示した。この発言は、イスラエルとイラン間の軍事衝突が激化する中で行われたものであり、米国の今後の関与の可能性を示唆するものとみられている。

トランプ氏のイランへの新たな警告

トランプ氏は自身の交流サイト「トゥルース・ソーシャル」に連続して投稿を行った。まず、「われわれは、いわゆる『最高指導者』がどこに隠れているか正確に把握している。容易な標的だが、そこにいる限り安全だ」と述べ、ハメネイ師の居場所を知っていることを誇示した。「少なくとも今のところは、われわれは排除(殺害!)するつもりはない」と付け加え、現在のところ武力行使による排除は計画していないことを明言した。

続いて、イランの行動に対する苛立ちを表明。「われわれは民間人や米兵に対するミサイル攻撃は望んでいない。われわれの忍耐は限界に達している」と、イランによる攻撃への警告を発した。そして、そのわずか3分後には、すべて大文字で「無条件降伏!」と投稿し、イランに対する最も厳しい要求を突きつけた。これらの投稿は、米国が中東の緊張、特にイランとイスラエルの間の衝突への関与を深める可能性を検討しているさなかに行われたものであり、イランへの圧力を一層強める意図がうかがえる。

米大統領執務室で発言するドナルド・トランプ氏。イラン最高指導者ハメネイ師に関する最近の厳しい警告や、無条件降伏を要求する投稿を行った後の様子。写真撮影日:2025年6月17日、ロイター/Kevin Lamarque米大統領執務室で発言するドナルド・トランプ氏。イラン最高指導者ハメネイ師に関する最近の厳しい警告や、無条件降伏を要求する投稿を行った後の様子。写真撮影日:2025年6月17日、ロイター/Kevin Lamarque

イスラエル・イラン間の衝突の現状

トランプ氏の発言と前後して、イスラエルとイラン間の軍事衝突は5日目を迎え、攻撃の応酬が続いている。イランの首都テヘランや、中部の大都市イスファハンで爆発があったと報じられた。一方、イスラエル国防省は、イランが再びミサイルを発射したと発表。これを受け、イスラエルの商業都市テルアビブを含む中部や、南部各地で空襲警報が発令され、市民に緊張が走った。両国間の直接的な軍事衝突は、中東地域の安定にとって深刻な脅威となっており、国際社会も行方を注視している。

過去の指導者との比較

こうした状況下で、イスラエルのギデオン・カッツ国防相は、イランの最高指導者ハメネイ師がたどる可能性のある運命について言及した。カッツ国防相は、米国主導の侵攻によって失脚し、特別法廷での裁判を経て2006年に処刑されたイラクのサダム・フセイン元大統領の例を挙げ、ハメネイ師も同様の運命をたどる可能性があると示唆した。この発言は、イスラエル側がイラン体制の転換を視野に入れている可能性を示すものであり、地域の緊張をさらに高める要因となっている。

結論

ドナルド・トランプ前米大統領によるイラン最高指導者ハメネイ師への直接的な言及と「無条件降伏」要求は、米国がイランに対し極めて強硬な姿勢を示していることを明確にした。イランとイスラエル間の衝突が継続する中で、米国の今後の対応が中東情勢の行方を左右する重要な要素となることは間違いない。国際社会は、さらなるエスカレーションを避けるための外交努力を求められている。

参考文献

ロイター通信 (2025年6月17日)