海上自衛隊は17日、指揮下の部隊で集団食中毒の疑いのある事案が発生したのに適切な措置を取らなかったとして、海将補(54)と1等海佐(54)を戒告処分にした。外部からの通報で発覚したといい、海自トップの斎藤聡幕僚長は同日の記者会見で「おかしいことをおかしいといえる雰囲気作りに努めていきたい」と述べた。
海自によると、令和5年9月14~15日ごろ、1等海佐が指揮していた部隊で食事後に腹痛を訴えるなど体調不良者が44人発生。だが、1等海佐は食事の中止を検討せず、上官の海将補は検討を指示したり、上級部隊へ報告したりしなかった。
調査に対して2人は、隊員を診察した部隊の医官が急性胃腸炎などと診断し、食中毒と判断しなかったことから措置を取らなかったと説明した。
同月下旬、外部から情報提供があり、海上幕僚監部の調査で発覚した。処分に対する審理要求が行われ、処分決定に時間がかかったという。
斎藤氏は会見で「本来なら内部からの通報で把握すべき。声が上がりやすい雰囲気を醸成したい」とも話した。