【ワシントン共同】トランプ米大統領は18日、ワシントンで記者団に対し、イラン側が米国との交渉開始を求めてきたことについて、「遅過ぎた」との考えを示した。同大統領はさらに、イランの意図に対する強い不信感を表明し、「イランには悪意がある」と批判した。この発言は、米国とイランの間で地政学的な緊張が高まり、中東情勢が緊迫化する中で行われたものであり、今後の両国関係および地域の安定に重要な影響を与える可能性がある。
トランプ大統領のイラン交渉に関する詳細発言
トランプ大統領は、ホワイトハウスで行われた質疑応答の中で、イランが過去に交渉を求めてきた時期があったことを示唆した上で、現在の状況ではその機会は失われたとの認識を明確にした。「遅過ぎた」という言葉は、米国がイランに対して「最大限の圧力」戦略を維持している現状において、イランが取るべき行動を怠ったという大統領の評価を反映している。大統領はこれまで、イランが核開発を完全に放棄し、地域での destabilizing な活動を停止すれば対話に応じる可能性を示唆してきたが、同時に、イランが米国の要求に応じない限り、制裁解除には応じないという強硬な姿勢を崩していない。「イランには悪意がある」との発言は、核開発疑惑や地域紛争への関与など、イランの過去および現在の行動に対する根深い不信感を改めて示すものと言える。
米国とイラン間の緊張の背景とこれまでの経緯
米国とイランの間の関係は、2018年にトランプ政権がイラン核合意(包括的共同行動計画、JCPOA)から一方的に離脱し、イランに対する経済制裁を再開・強化して以来、著しく悪化している。米国はイラン産原油の輸出をゼロにすることを目指すなど、イラン経済に壊滅的な打撃を与えることで、イラン政府に政策転換を迫る戦略を取っている。これに対し、イランは核合意で定められた制限の一部からの逸脱を示唆・実行したり、ホルムズ海峡周辺でのタンカー襲撃や米軍無人機撃墜事件など、軍事的な挑発行動に出たりすることで対抗している。このような状況下で、第三国による仲介の試みや、水面下での接触の可能性も報じられてきたが、双方の隔たりは大きく、本格的な外交交渉の糸口は見つかっていなかった。今回のトランプ大統領の発言は、その困難な状況を改めて浮き彫りにした形だ。
今後の米国・イラン関係の展望
トランプ大統領がイランからの交渉打診を「遅過ぎた」と一蹴したことは、当面、米国がイランとの対話よりも「最大限の圧力」戦略を優先し続ける意向であることを示唆している。イラン側が今後どのような反応を示すか、米国による制裁強化にどのように対応するかが焦点となる。国際社会は、米国とイランの偶発的な衝突が中東地域全体の安定を損なうことを深く懸念しており、緊張緩和に向けた外交努力の必要性が叫ばれている。しかし、トランプ大統領の今回の発言は、現在の米イラン関係が極めて難しい局面にあり、解決に向けた道のりが依然として遠いことを示唆している。今後の両国の動き、特にイランが経済的苦境の中でどのような戦略を選択するかが、中東情勢の安定に大きく影響を与えることになるだろう。
参考資料
- 共同通信
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