米国は、イスラエルとイラン間の緊張が高まる中、イランの核開発計画に関連する主要施設への軍事攻撃を含む、紛争へのより直接的な介入に近づいている可能性がある。特に、山中に位置するフォルドゥ燃料濃縮施設などが標的となり得るとの見方が出ている。イスラエルはすでに数日にわたりイランに対して攻撃を行っており、その指導者たちは、トランプ米大統領がこうした攻撃の完了を支援するかどうかを注視している状況だ。
トランプ大統領、軍事オプションに前向きか
協議に詳しい複数の当局者がCNNに明らかにしたところによると、トランプ大統領は現在、イランの核施設を攻撃するために米軍の資産を使用することに対して前向きな姿勢を示し始めており、その一方で、外交的な解決策に対しては消極的な意向を示しているという。トランプ大統領自身も18日、ホワイトハウスでの記者会見でこの可能性に言及し、「攻撃するかもしれないし、しないかもしれない。私が何をするかは誰にも分からない」と述べた上で、「一つ言えるのは、イランは多くの問題を抱えており、交渉を望んでいるということだ。なぜ、これほど多くの死と破壊が起こる前に、私と交渉しなかったのか」と、過去の対話機会を逃したイランを批判する形で語った。
米大統領専用機にて、イラン情勢に関する発言を行う前のトランプ氏
専門家が警告する「泥沼化」のリスク
しかし、専門家たちは、米国がイランに対して軍事攻撃を行えば、それはイラクやアフガニスタンでの戦争をも上回る、深刻な「泥沼」へと引きずり込まれる恐れがあると強く警告している。この対立は、トランプ大統領の任期を超えて長期にわたる可能性が高く、イスラエルの要請に応じる形での介入は、米国の人命および資源に計り知れない犠牲を強いるものとなり得る。ワシントンのクインシー研究所執行副所長であるトリタ・パルシ氏はCNNに対し、「米国が何らかの攻撃を実行すれば、それはイランによる地域内の米軍基地に対する全面攻撃、ひいては米イラン間の全面戦争へと発展するだろう」と危機感を示した。
解放される「パンドラの箱」の行方
パルシ氏はさらに、イラン自体は米国との長期的な戦争に耐えられないかもしれないが、米国にとっても決して容易な戦いにはならないとの見方を示している。これは、イランが非常に広大な国土を持ち、その反撃能力を完全に排除するためには、米国が極めて多くの標的を攻撃する必要があるためだ。また、欧州外交評議会の上級政策研究員であるエリー・ゲランマイエ氏はCNNの取材に対し、米国によるイラン攻撃は文字通り「パンドラの箱」を開ける行為であり、「トランプ大統領の残りの任期をほぼすべて食いつぶす可能性が極めて高い」と述べた。「一度パンドラの箱が開けられてしまえば、その後の事態がどのように展開するかは全く予測できない」とゲランマイエ氏は述べつつも、「トランプ大統領は過去にもイランとの軍事衝突の瀬戸際から撤退した経験があり、今回もそうする決断を下す力は彼にある」と付け加えた。
米国がイランの核施設に対する軍事行動を検討している可能性が高まっている一方、国際関係の専門家たちは、その潜在的な危険性、特に終わりの見えない「泥沼」状態への陥落や、地域全体の不安定化といった深刻な結果について一致して警告を発している。中東の安全保障環境、そして米国の外交・軍事戦略の行方は、トランプ大統領が最終的にどのような決断を下すかに大きく依存していると言えるだろう。
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