財務金融委員会、阿久津委員長が質疑中に「速記停止」連発 – ガソリン税廃止法案巡り

衆議院本会議で解任された自民党の井林辰憲前財務金融委員長の後任となった立憲民主党の阿久津新氏が、新委員長として臨んだ20日の衆議院財務金融委員会において、ガソリン暫定税率廃止法案を巡る質疑中に速記停止を幾度となく指示し、国会中継の音声が途切れる事態となった。

新委員長就任後初の委員会となったこの日、質疑時間の短さや議論の進め方を巡って、冒頭から与野党間で応酬があった。質疑に立った自民党の上野賢一郎議員は、わずか3時間しかない質疑時間で採決を行うことに疑問を呈した。これに対し阿久津委員長は、各党から意見を聞いた上で、会期末が迫っていることから委員長としての判断で議事を進めていると説明。上野議員は一旦は委員長の職権行使として受け入れ、議論は進められた。

衆議院財務金融委員会での質疑に応じる立憲民主党・阿久津新委員長衆議院財務金融委員会での質疑に応じる立憲民主党・阿久津新委員長

議論中のヤジと相次ぐ速記停止

質疑が進む中で、日本維新の会の青柳仁士議員が暫定税率廃止に関する野党提案の変更点などについて説明していた際、ヤジが激しくなったため、阿久津委員長は10時20分ごろ「速記を止めてください」と述べ、中継の音声が途絶した。

質疑再開後、立憲民主党の重徳和彦議員が上野議員の質問に対し、野党7党で一致して法案を提出した経緯や、与党内にも様々な意見があることを踏まえ、委員会審議でしっかり答弁する約束に基づき質疑に応じている旨を説明していた際にも再びヤジが激しくなり、阿久津委員長は10時22分に「ご静粛にお願いします。速記を止めてください」と宣言し、再度音声が途絶えた。

衆議院財務金融委員会で阿久津委員長に質疑を行う自民党の上野賢一郎議員衆議院財務金融委員会で阿久津委員長に質疑を行う自民党の上野賢一郎議員

その後、議論は暫定税率廃止に伴う事業者への補助金へと移り、上野議員は補助金がいつ入るか不明な点や、前提となる7月1日現在のガソリン残量を正確に把握できるのかを追及した。限られた期限内での確認方法などが議論される中、重徳議員は質疑のあり方について「与党の皆様方にもっと積極的に、我々の考え方に積極的に乗っていただければ、そんな“基本のキ”のような質問を今さら与党の議員さんが政府に行うのも皆さんおかしいと思いませんか?」などと述べたあたりで再びヤジが激化。阿久津委員長は10時35分、三度目の「速記を止めてください」を宣言した。

再開後も、ガソリンスタンドへのヒアリング結果が与野党で異なり、事実関係確認のために当事者を呼んで理事会を開くか否かで揉め、10時38分には四度目の速記停止となり音声が途切れた。再開後も議論は着地せず、上野議員が採決を延期して参考人を呼ぶべきだと詰め寄るも、阿久津委員長は直接の回答を避け、法案提出者である青柳議員を指名するにとどまった。

この日の財務金融委員会では、ガソリン暫定税率廃止法案を巡る与野党の質疑が紛糾。委員長に就任したばかりの阿久津氏が、度重なるヤジや議論の応酬に対し、短時間で複数回にわたり速記停止を指示する異例の展開となった。質疑時間の確保や補助金の実効性、さらには事実確認のための理事会開催を巡る対立は解消されないまま、議論は進められた。