ミュージシャンのGACKT氏が6月22日、自身のX（旧ツイッター）を更新し、まだ面識がないという料理研究家のリュウジ氏に対し、公開の形で会食を呼びかけました。これは、リュウジ氏が過去に巻き込まれた「奢り問題」に関するGACKT氏の見解を示す投稿の一部です。GACKT氏は、この問題を巡る社会的な議論や自身の「美学」について詳細な持論を展開しました。
リュージ氏の「奢り問題」に言及したGACKT氏（2024年撮影）のポートレート
リュウジ氏を巡る「奢り問題」の経緯
リュウジ氏が経験した「奢り問題」は、2023年10月にリュウジ氏自身のX投稿が発端となりました。彼は、男性友人と予定していた会食に突然、初対面の複数の女性が現れ、男性陣が女性たちの飲食代まで全額負担することになった一件について記述しました。この状況に納得がいかず、リュウジ氏が「なんで男ってだけで知らん女子の飯代払わなきゃいけないの？」と問いかけたところ、女性から「有名人なのにケチすぎ」「今の会話録音したからな、拡散してやる」と反論されたことを明かしました。この投稿はSNS上で大きな論争を巻き起こしました。
YouTubeで改めて語られた論争
最近、リュウジ氏は自身のYouTubeチャンネルで、コラボしたユーチューバーのエミリン氏から「今までの“一番理不尽炎上”何ですか？」と問われた際に、迷わず「港区女子（の件）です」と答えています。その際、彼は「友達と2人で飲むってなった時に港区女子がいっぱいきて…」と当時の状況を改めて振り返り、「“なんで知らねえ女におごらなきゃいけないのか”って（Xで）言って炎上しました…おごりおごられ論争で」と語りました。この中で、当時GACKT氏もこの件に言及していたことにも触れています。
GACKT氏が指摘する問題の根本：平等と公平の混同
GACKT氏は、リュウジ氏のX投稿に関する一連の報道に触れ、「少し時間が経ってしまったが、リュウジくんの記事を見て、あらためて考えた。彼の言いたかったこと、ボクには痛いほどよくわかる」と共感を示しました。
GACKT氏は、問題の根本は「男女平等」と「男女公平」が混同され、都合よく使い分けられていることにあると指摘します。氏は「平等とは、権利を等しく与えること。公平とは、違いに応じてフェアに扱うこと」と定義し、野球場の観客席を例に挙げ、「誰にとっても“平等”だが、背の低い人には見えない。公平にするなら、その人のために台を用意しなきゃならない」と解説しました。給与の例では、平等なら全員同じ給料となり、努力や成果が無視されることでやる気を失わせると述べました。
この観点から、GACKT氏は「『男が奢るのが当たり前』って考え方は、男女平等の観点からすれば矛盾する」と断じ、都合のいい時だけ「古い美学」を持ち出す者が多いと批判しました。痴漢の問題に関しても、「無意識に『加害者は男』と決めつけている者が大多数だ」と持論を展開しました。
さらに、最近はSNSでの「晒す」という脅しや、「正義ごっこ」をする人が増え、名のある人間にとっては困難な状況になっていると述べました。GACKT氏は、本来「強さ」や「美学」は他人に無理強いするものではなく、男性の強さは自身の誇りや憧れの中に、女性も自分の信念の上で自分らしさを磨くべきだとしました。そして、今の時代は「平等」「公平」「弱者救済」といった美しいはずの理念が混ぜこぜになり、カオスな状態になっていると現状を憂いました。
だからこそ、自分の「美学」を持って生きることが何より大切だとし、食事の場での振る舞いや、失礼な態度への対処はルールで決まることではなく、一人一人の「美学」に従うべきだと結論づけました。その「美学」を貫いた結果、誤解されたり批判されたりしても、「慌てず笑っていられる強さこそが本物」だと述べ、自身の哲学を示しました。
最後にGACKT氏は、「リュウジくん、まだ会ったことないけど、今度、ゆっくり飯でもどう？面白い話ができそうだ」と締めくくり、リュウジ氏に会食を呼びかけました。
