【ワシントン=阿部真司】米軍はイランの核施設に対し攻撃を実施し、地下貫通型大型爆弾「バンカーバスター」や、精密誘導型巡航ミサイル「トマホーク」などを使用しました。
作戦の意義と米軍の能力
ヘグセス国防長官は22日の記者会見で、「この作戦は米軍の比類ない能力と世界規模の影響力を浮き彫りにするものだ」と強調し、今回の軍事行動の重要性を説明しました。
最新型バンカーバスター「GBU57」の初投入
今回の攻撃で中心的な役割を果たしたとされるのが、地下施設などを破壊するために開発されたバンカーバスターの最新型「GBU57」です。GBU57の実戦での使用はこれが初めてとなりました。イスラエル単独では、イラン中部フォルドゥにあるウラン濃縮工場に致命的な打撃を与えることが困難だったため、イスラエル側が米側にこの兵器の使用を求めていたとされています。
米軍がイラン核施設攻撃に使用した地下貫通型爆弾GBU57
B2爆撃機による史上最大規模の作戦
約14トンという重量を持つGBU57を唯一搭載できる航空機とされるのが、ステルス爆撃機B2です。米軍によると、GBU57を2発ずつ搭載したB2爆撃機7機が、米本土を出発してイランに向かい、途中で複数回の空中給油を受けたということです。米軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長は記者会見で、攻撃に加わった7機とは別のB2爆撃機を「おとり」として太平洋方面に飛行させたことを明らかにし、「米国史上最大のB2爆撃機による作戦攻撃だ」とその規模を強調しました。
イラン核施設攻撃作戦で使用されたステルス爆撃機B2
潜水艦からのトマホーク攻撃
攻撃は海上からも実施されました。米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、米海軍の潜水艦から巡航ミサイル「トマホーク」が合計約30発発射され、イラン中部のナタンツとイスファハンにある核施設に着弾したとされています。トマホークは、米軍が1991年の湾岸戦争で初めて実戦投入して以来、数多くの紛争で使用されてきた実績のある兵器です。
イランの報復攻撃への警戒
米軍は、イランからの報復攻撃の可能性に強く警戒しています。米政治専門紙ポリティコによると、最新鋭ステルス戦闘機「F35」などが中東の米軍基地に増派されており、これらの活動を支援するため、12機以上の空中給油機も同行しています。また、空母2隻体制が維持され、複数の米海軍駆逐艦がイスラエルの近く、地中海東部に展開しています。
今後48時間の懸念
NBCニュースは米ホワイトハウス高官の話として、イランによる報復攻撃の可能性について、「今後48時間が特に懸念される」との見方を示しており、情勢の緊迫度が高まっていることを伝えています。
今回の米軍によるイラン核施設攻撃は、最新鋭兵器の投入と大規模な作戦展開により行われました。イラン側の報復措置の可能性が注視されており、中東の緊張が高まっています。
参照元
- 米空軍 (画像)
- AP通信 (画像、記事情報の一部)
- 読売新聞 (元記事)
- ニューヨーク・タイムズ
- ポリティコ
- NBCニュース
- 米国防総省 (ヘグセス長官発言)
- 米統合参謀本部 (ケイン議長発言)
- 米ホワイトハウス高官 (NBC報道)