イラン最高指導者ハメネイ師、米攻撃で「最も悲惨な状況」 米専門家指摘

イランの最高指導者ハメネイ師(86)は、米国による自国の核関連施設3カ所への攻撃を受け、イランのかじ取りを担って以降「最も悲惨な状況」に置かれている――。米シンクタンク「カーネギー国際平和基金」の専門家がそんな見方を示している。

イラン最高指導者ハメネイ師がテヘランで演説する様子(2025年3月撮影)イラン最高指導者ハメネイ師がテヘランで演説する様子(2025年3月撮影)

米専門家が見るハメネイ師の現状

カーネギー国際平和基金の専門家、カリム・サジャドプアー氏はCNNの取材に対し、ハメネイ師が「独裁者としての生涯で最も悲惨な状況」にあると言えるだろうと語った。サジャドプアー氏によると、ハメネイ師は現在地下壕(ごう)に身を潜めているという。

厳しい状況を招く要因

サジャドプアー氏は、ハメネイ師の状況が厳しい背景として複数の要因を挙げている。まず、86歳という高齢であり、身体的にも認知能力的にも限界がある点を指摘。さらに、軍の主要な司令官の多くが暗殺され、自国の領空を掌握できておらず、イスラエルが支配している状況を挙げた。「この戦争から抜け出す道はなく、軍事的にも、財政的にも、技術的にも劣勢だ」とサジャドプアー氏は分析している。

過去の発言と米大統領の反応

ハメネイ師は、米軍がイランの主要核施設を攻撃して以降、公の場で声明を出していない。しかし、先週の演説では「イランは決して屈しない」と強調し、米軍のさらなる介入は「取り返しのつかない損害」を招くと警告していた。一方、イスラエルが提案したハメネイ師暗殺計画を拒否したとの報道の後、トランプ米大統領はハメネイ師について「簡単な標的」と発言していた。

35年以上の統治と今後の行方

ハメネイ師は、1979年のイスラム革命で米国が後ろ盾となった王政が倒されてから10年後に最高指導者の座に就き、以降35年以上にわたり権力の頂点に立ち続けてきた。サジャドプアー氏は、ハメネイ師について「生き延びる本能と同時に反発する本能もある。その二つをどう折り合いをつけるかに苦しんでいる」との見方を示している。イランへの軍事介入がレジームチェンジ(体制転換)を招き、イラン国内の分裂や中東地域全体に衝撃が及ぶのか、今後の展開が注目されている。

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