米軍事パレード抗議で87歳退役軍人逮捕 「まだ始まったばかり」の言葉が波紋

米国の首都ワシントンD.C.で行われた米陸軍創設250周年記念軍事パレードへの抗議活動で、一人の退役軍人の発言が大きな注目を集めている。パレード前日の6月13日に行われたこのデモでは、87歳の退役軍人ジョン・スピッツバーグ氏が当局に拘束された。「まだ、始まったばかりです」と語った彼の言葉は、ソーシャルメディアで大きな反響を呼んでいる。この出来事は、費用や意義を巡り議論を呼んだ軍事パレードの背景と共に注目されている。

パレードへの批判と退役軍人らの抗議活動

この軍事パレードは、翌14日のドナルド・トランプ前大統領の誕生日とも重なり、その総費用が約4500万ドル(日本円で約64億円)にのぼると報じられたことから、実施前から国内外で強い批判が寄せられていた。パレード前日の13日、ワシントンD.C.では約75名の退役軍人らによる平和的なデモ行進が行われ、抗議の意思を示す中で当局に拘束された。

注目を集める87歳退役軍人の言葉

拘束されたデモ参加者の一人、ジョン・スピッツバーグ氏(87)の様子を捉えた映像がTikTokで拡散され、260万回以上再生されるなど大きな注目を集めている。映像の中で、スピッツバーグ氏は現場の記者から「87歳で警察に拘束されて、今のお気持ちは?」という質問を受けた。これに対し、彼は冷静にこう答えた。「まだ、始まったばかりです。少し休んだあとに、また抗議を続けるつもりです」。

米陸軍創設250周年記念軍事パレードの様子。兵士が行進している。米陸軍創設250周年記念軍事パレードの様子。兵士が行進している。

拘束時の詳細とソーシャルメディアの反応

現場で取材していた米メディア「WORLD」のキャロリーナ・ルメッタ記者は、自身のX(旧Twitter)でスピッツバーグ氏の拘束時の状況を伝えた。ルメッタ記者によると、スピッツバーグ氏はもともと群衆の中にいたが、フェンスを越えて米国議会議事堂前の広場で抗議を始めた。警察が彼を群衆に戻そうとしたが、「他の抗議者たちと一緒にいたい」と述べたため、警官は彼に手錠をかけ、警察車両に連行したという。

この高齢の退役軍人の行動と言葉に対し、ソーシャルメディアでは「ジョンさんのような人が、本物の愛国者だ」「軍人としてアメリカに貢献し続け、87歳になってもまだ任務を続けているなんて!」「ジョンさんの今までやってきたこと、そしてこれからしようとしていること、全てに感謝しています」など、彼の行動を称賛し、応援するコメントが多数寄せられている。

米軍事パレード抗議で逮捕された87歳の退役軍人、ジョン・スピッツバーグ氏。米軍事パレード抗議で逮捕された87歳の退役軍人、ジョン・スピッツバーグ氏。

まとめ

費用や意義を巡る議論の中、自身の信念に基づき平和的な意思表示を行った退役軍人の姿と力強い言葉は、多くの人々の記憶に残る出来事となった。この出来事は、アメリカにおける退役軍人の地位や社会運動のあり方についても一石を投じるものと言えるだろう。

(この記事は、BuzzFeed Japanが米メディアの報道を翻訳・編集した内容に基づいています。)