六代目山口組では、若頭交代から半年を迎え、竹内照明新若頭による組織の大幅な改編が進行中です。執行部の若返りが顕著に進み、業界内では竹内新若頭が次期「七代目組長」となる可能性も指摘されます。しかし、その前には抗争激化により警察の使用制限を受ける神戸市灘区の山口組総本部「奪還」という大きな課題が存在。組織の歴史と威信に関わるこの問題は、新体制にとって喫緊の重要事項であり、その行方に注目が集まります。
竹内新若頭による組織の「若返り」
竹内照明若頭の就任以来、六代目山口組は組織改編を強力に推進しています。実話誌記者によれば、執行部の人員は大幅に刷新され、若返りが図られました。特に、竹内若頭の側近である若頭補佐が大きく若返り、分裂抗争前から執行部に残るのは竹内若頭と森尾卯太男舎弟頭のわずか2名。この人事は、高山清司相談役が率先して若頭を退いたことで円滑に進んだと評判です。高山相談役も若頭就任時に司忍組長の逮捕が目前だった時期に組織固めに奔走した経験があり、竹内若頭は彼の助言を受け改革を進めていると見られます。業界関係者の間では、この流れから「竹内七代目の誕生は近い」との観測が広がっています。
六代目山口組の司忍組長と新体制を担う竹内照明若頭の到着風景
懸案事項:山口組総本部の「使用制限」解除
山口組総本部の「使用制限」解除は、竹内新体制が直面する主要課題の一つです。神戸市灘区篠原本町にあるこの総本部は、山口組中興の祖・田岡一雄三代目組長の住居として新築され、その後「総本部」として利用されてきました。「篠原」とも呼ばれるこの場所は、盃事や会合、事始め式など、組織の歴史と威信を象徴する数々の重要行事が行われた場所です。警察が使用制限を課した背景には、2019年10月に弘道会傘下の組員が神戸山口組(当時)の組員2人を射殺した重大事件があります。マスコミや一般人にも危険が及びかねないこの事件を受け、兵庫県警は翌日、暴排条例に基づき仮命令を下し、以来6年以上にわたり総本部への立ち入りが制限されています。
「総本部」奪還に向けた山口組の動きと警察の強硬姿勢
「総本部」を奪還せずして本当の抗争終結はないと考える直参組長は多く、「竹内七代目」の盃事を総本部で執り行えないことは、110年の山口組の歴史に汚点を残しかねないとの危機感が強いです。山口組は既に総本部奪還へ動き出し、分裂抗争終結宣言直前には、古参の北島虎・杉組組長を総本部責任者に任命。最近の執行部会でも修繕が議題に上り、各組に修繕費負担を求める意向が伝えられました。これは六代目側が警察側と水面下で奪還交渉を進めていると見るのが妥当でしょう。しかし、総本部の現状は思わしくなく、2024年3月の立ち入り許可時には、敷地内に害虫やネズミ、イタチなどの野生動物の痕跡が多数あり、雨漏りによる水浸しの部屋もあったと関係者は明かします。これは日本の空き家問題とも共通します。山口組は「特定抗争指定暴力団」の早期解除を望むものの、警察は強硬姿勢を崩していません。今年9月18日には兵庫県公安委員会が六代目山口組と神戸山口組への特定抗争指定を来年1月6日まで延長と発表。2019年の使用制限時に「指定組織の壊滅まで解除はない」と宣言した警察当局と山口組との水面下交渉の行方に、大きな関心が集まります。
結び
竹内若頭体制下の六代目山口組は、執行部の若返りを進めつつ、長年の懸案である総本部「使用制限」解除という難題に直面しています。組織の歴史と求心力の象徴である総本部の奪還は、新体制の正当性を示す上で不可欠であり、その実現に向けた動きは活発化しています。一方で、警察当局は特定抗争指定を延長し、強硬姿勢を崩しません。この複雑な状況は、六代目山口組の今後の展開、ひいては日本の暴力団情勢全体に大きな影響を与えるでしょう。総本部の修復と使用制限解除を巡る交渉の行方は、引き続き注目されるべき重要な政治社会ニュースです。
参考文献
- Yahoo!ニュース / NEWSポストセブン