国家安全保障局に異変?室田氏転出と外務省“マフィア”の系譜

石破茂政権下、米国の関税問題など難局が続く中、今夏には参院選を控えています。こうした状況下で、外交・安全保障政策の中枢である国家安全保障局(NSS)の人事異動が注目されています。特に、日米交渉の最前線に立つ岡野正敬局長をはじめ、重要なポストで動きが見られています。

日米関係と国家安全保障局の動き

対米交渉を担うNSSの岡野正敬局長は、就任前からの訪米で米側のカウンターパートとの関係構築を図ってきました。しかし、今年5月には米国のマイケル・ウォルツ大統領補佐官(当時)が解任されるなど、予期せぬ米側の人事の動きも見られます。これは、今後の日米間の連携に影響を与える可能性も指摘されています。

国家安全保障局長 岡野正敬氏と、当時の米大統領補佐官 マイク・ウォルツ氏が会談する様子。日米外交の一場面。国家安全保障局長 岡野正敬氏と、当時の米大統領補佐官 マイク・ウォルツ氏が会談する様子。日米外交の一場面。

NSSナンバー3、室田幸靖氏の転出

さらに、今夏の定期人事異動では、NSSのナンバー3である室田幸靖内閣審議官(平成6年、外務省)がロサンゼルス総領事への転出が有力視されています。室田氏は安全保障政策課長などの要職や、山田重夫駐米大使が総合外交政策局長だった時代の総務課長を経験。2021年10月に当時の秋葉剛男NSS局長(元外務次官)の下でNSS審議官に就任して以来、他省庁からも「外務官僚離れした能吏」として評価されました。特に岸田政権下の防衛力強化議論では、財源確保や防衛三文書改定シナリオを描くなど、秋葉氏に重用されてきました。

外務省「外交・安保政策マフィア」の系譜

室田氏を重用してきた秋葉氏を筆頭に、外務省には「外交・安保政策マフィア」とも称される系譜が存在し、この分野の重要政策を主導してきました。この系譜に連なる官僚たちは、外交・安全保障分野における専門性と影響力を持ち、重要な政策決定に関与してきました。室田氏もその一員と見られており、今回の第一線からの異動が、今後の政策形成に与える影響が注目されます。

今回のNSSにおける主要な人事異動、特に室田氏の転出は、対米交渉や防衛政策など、日本の外交・安全保障政策に影響を及ぼす可能性があります。「外交・安保政策マフィア」と呼ばれる系譜の動向を含め、霞が関のこれらの動きは今後も注視が必要です。

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