2020年代初頭から爆発的に普及し、一時は“次世代の漫画”としてもてはやされたWebtoon(ウェブトゥーン)。国内でもIT系の新興企業や漫画配信を行う企業などが参入し、Webtoonを推進するコンサルタントまで現れた。大手出版社も関心を示し、水面下では企画を進めていたと聞く。
【写真】webtoonは不作でも…連日のようにファンで賑わうアニメや漫画の聖地
ところが、現状、集英社やKADOKAWAがサイトを開設しているものの、大手が参入する例がほとんどみられない。むしろ、国内では従来型の漫画の方が支持を集めている状況にあり、ひっそりと市場から撤退する事例も出ているという。漫画市場を席巻すると目されていたWebtoonは、これからどうなっていくのだろうか。【文・取材=山内貴範】
Webtoonの編集プロダクションも生まれたが
Webtoonは、韓国発祥の「縦読み(縦スクロール)」の漫画である。紙ではなく、スマートフォンの画面で読まれることを前提に作られている点に特徴がある。象徴的な作品といえば、韓国の同名の小説をコミカライズした『俺だけレベルアップな件』だろう。2018年にWebtoonでコミカライズされると、2024年時点で全世界累計143億Viewを記録するヒットとなった。
その後も、韓国からいくつものヒット作が生まれたことを受け、日本の大手出版社もWebtoonの本格参入を検討し始めた。一時期は、SNSに漫画家を募集する広告が多数登場し、ネットニュースでも「日本の漫画はオワコン」「韓国の漫画が世界を席巻する」などのフレーズとともに、その盛り上がりを伝える記事が多かった。
しかし、その勢いはだいぶ沈静化した印象を受ける。あるWebtoonを配信する企業がヨーロッパから撤退したというニュースも流れ、漫画家の間でも関心が薄れつつあるようだ。大手出版社で連載をもつ漫画家A氏は、一度Webtoonを描こうと模索したものの、従来の漫画のメリットに気づいたといい、「漫画制作のスタイルが、日本に合っていなかったということなのでは」と話す。
「Webtoonは漫画とアニメの中間的なコンテンツといえます。通常の漫画は漫画家が1人でも制作できるのに対し、Webtoonは分業制になっているのです。一本の作品に対し、シナリオ、下絵、ペン入れ、着色などの担当者がいるため、結果的に一人当たりの取り分が減ってしまうんですよ」






