記憶力や思考力など、「頭がいい」とされる能力は先天的に決まる部分が多い、と考える人は少なくありません。しかし、この考えに異を唱えるのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』編集担当でもある西岡氏は、誰もが東大合格を予想していなかったような生徒が猛勉強の末に合格する実例を集め、「チームドラゴン桜」として教育実践を行っています。彼が知見を基に解説する、後天的に身につけられる「頭を良くするテクニック」は注目されています。本記事では、西岡氏の活動から得られた視点も踏まえつつ、長年教育業界で問題視されている「地方と都会の教育格差」について、最新のデータから現状を考察します。
地方と都会の教育格差は、数十年変わらず叫ばれ続けている問題です。これは、都会に比べて地方の学習環境が十分に整っておらず、結果として「いい大学」を目指す際に地方の学生が不利になりやすい状況を指します。
この格差を解消するため、近年は多くの教育サービスが登場しました。例えば、安価なオンライン授業を提供する「スタディサプリ」の登場や、YouTube、各種SNSでの無料学習コンテンツ配信など、情報へのアクセスは以前より格段に広がっています。
しかし、こうした技術やサービスの発展にも関わらず、教育格差は縮小するどころか、むしろ拡大傾向にあるのが現状です。
ドラゴン桜の漫画パネル。西岡壱誠氏の「リアルドラゴン桜」の取り組みを想起させる。
具体的に、代々木ゼミナールが発表した2025年度東京大学前期日程の合格者データを見てみましょう。それによれば、合格者のうち関東地方出身者の割合は61.7%に達しています。これは、過去20年間で近畿地方を含むその他の地域の割合が50.7%から38.3%へと約10ポイントも減少している事実と対照的です。このデータは、地方の学生が東大のような難関大学に合格する割合が減少傾向にあることを明確に示しており、教育格差の拡大を示唆しています。
東大合格者の地域別割合を示すグラフのイメージ。地方と都会の教育格差データに関連。
結論として、オンライン教育などの情報アクセス改善が見られる一方で、東京大学の合格者データからは、地方と都会の間で教育機会の格差が依然として存在し、むしろ拡大している可能性が高いと言えます。この傾向は、今後の日本の社会構造にも影響を与えうる重要な課題です。
参考文献
- 西岡壱誠 著 『なぜか目標達成する人が頑張る前にやっていること』(講談社)
- 代々木ゼミナール発表 2025年度東京大学前期日程合格者データ