中学校教員は年収660万円だが激務…教頭(副校長)になれば本当に年収800万円超え?

中学校教員の平均年収は約660万円とされますが、日常的な残業や休日出勤を考慮すると、必ずしも高いとは言えない現状があります。こうした長時間労働は家庭にも負担をかけ、「この収入では働きに見合わない」と感じる家族もいるかもしれません。特に、教員の配偶者が子育て中の場合、年収660万円ではゆとりのある専業主婦生活は難しく、パートとの両立で「収入が増えれば子育ての時間を増やせるのに」と感じるのも無理はありません。本記事では、中学校教員の年収と働き方の実態、そして教頭(副校長)への昇進が年収にどれほど影響するのかを解説します。

中学校教員の平均年収と深刻な働き方の実態

総務省の「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、公立中学校教員の平均月給は約40万円です。これに年2回のボーナス(期末・勤勉手当、月給の約4.5ヶ月分)を加えると、単純計算で年収は約660万円となります。地域による差はありますが、各種手当も加わるため、実際の平均年収はこれを超える場合が多く、安定した収入源と見られがちです。

中学校教員の平均年収660万円と長時間労働、教頭(副校長)昇進による年収変化のイメージ中学校教員の平均年収660万円と長時間労働、教頭(副校長)昇進による年収変化のイメージ

しかし、教員は長時間労働が常態化している点が大きな課題です。「教職調整額」として基本給の4%が一律で支給されるものの、これは残業代として計算されていません。この教職調整額は、2026年から毎年1%ずつ引き上げられ、2031年には10%になることが決定しました。約50年ぶりのこの制度改正は、教員の長時間労働問題が社会的にいかに深刻であるかを物語っています。

教頭(副校長)昇進で年収は100万円以上アップするのか?

東京都教育委員会の資料「給与面で処遇が改善されています!」を参照すると、在職年数17年程度の副校長の年収は約850万円とされています。これは、年収約660万円の中学校教員と比較して、約190万円の大幅な増加です。一方で、在職年数16年程度の副校長の年収は約700万円とされており、教員からの昇進による年収アップは約40万円となります。

このように昇進による年収の増加幅は40万円から190万円と開きがありますが、公立学校教員の給与は民間企業とは異なり、業績ではなく在籍年数や役職に応じて安定的に昇給する体系となっています。なお、東京都の公立学校では2004年度から「教頭」の役職名が「副校長」に変更されており、上記の例は副校長を前提としています。勤続年数16年以上の教員であれば、副校長への昇進によって年収が800万円台を見込めるという見方は、十分に現実的であると言えるでしょう。

総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」
東京都教育委員会資料「給与面で処遇が改善されています!」