日々の生活における「睡眠と覚醒のリズム」と「幸福感」は、私たちの心身の健康に深く関わっています。特に高齢者にとって、愛するペットとの触れ合いがこうした幸福感をもたらすケースも少なくありません。健康分野の専門家である鎌田實氏と、お金の専門家である荻原博子氏が、健康で幸せな生活を送るための秘訣について語ります。幸福、健康、そしてお金はどのように繋がり合っているのでしょうか。この興味深い関係性とその人生への影響を探ります。
幸福を感じることの驚くべきメリット
鎌田氏は、幸福であるための要素として、(1)健康、(2)いい人間関係、(3)自己決定、(4)収入、(5)学歴の5つを挙げます。これらの要素はどれも大切ですが、数が多ければ多いほど幸せというわけではないと言います。例えば収入について、増えれば増えるほど際限なく幸福になるわけではなく、年収700万円程度で幸福度は頭打ちになるという研究結果が複数存在します。収入がある程度安定すると、それ以上の幸福には別の要素が関わってくるのです。
荻原氏は、自分の裁量で使えるお金がある程度必要であることは認めつつも、収入が巨額になったからといって幸福度が劇的に変わるわけではないと指摘します。
アメリカのハーバード大学が行った研究では、「自分のことを幸せだと思う」学生とそうでない学生を16年間追跡調査した結果、幸福度の高かった学生の方が、低い学生に比べて年間収入が平均275万円も高かったという驚くべき事実が判明しました。自己決定ができて幸福だと感じている人には、経済的な豊かさもついてきやすいのです。これは、ポジティブなエネルギーを持つ人が社会的に有利に働きやすいことを示唆しています。
また、アメリカのマウントサイナイ医科大学の研究では、人生の目的意識を持つ人は心臓血管疾患による死亡リスクが低いことも明らかになっています。このように、気持ちのもち方や目的意識が、幸せだけでなく、お金や健康にも好影響を与えることが科学的にも示されています。
穏やかな表情で過ごす人々のイメージ。幸福感を表す写真
「幸せホルモン」、セロトニンの役割
鎌田氏によると、セロトニンというホルモンは「幸せホルモン」と呼ばれ、「無形浮遊資産」の一つとも言える重要な存在です。うつ病の患者さんを調べるとセロトニンの分泌が不足していることが多く、治療薬にはセロトニンに関連するものが使われます。
セロトニンは薬に頼らなくても増やすことが可能です。鎌田氏が強く推奨するのは、毎朝、太陽の光を浴びることです。セロトニン自体は主に腸でつくられますが、太陽光に当たることで脳内で活性化され、幸福を感じやすくなると言われています。
心身の健康を維持し、幸福度を高めるためには、このような生物学的なメカニズムを理解し、日常生活に簡単な習慣を取り入れることが有効です。
結論
幸福感は、健康や経済状況と密接に関わる重要な要素です。収入がある一定水準を超えると幸福度は安定する傾向がありますが、ポジティブな思考、自己決定感、そして人生の目的意識を持つことは、物質的な豊かさ以上に人生の質を高めます。「幸せホルモン」であるセロトニンの働きを理解し、例えば毎朝太陽の光を浴びるなどの習慣を実践することで、心身ともに健康で、より満たされた日々を送るための基盤を築くことができるでしょう。
参考資料
- 出典: 鎌田實、荻原博子『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)
- 参照研究: ハーバード大学、マウントサイナイ医科大学 研究報告