埼玉県三郷市で小学生ひき逃げ、飲酒運転の疑い 外国籍の男逮捕・起訴

2025年5月14日午後4時過ぎ、埼玉県三郷市の閑静な住宅街で、下校中の小学生の列に車両1台が突っ込む痛ましい事故が発生しました。運転していた男は救護活動を行うことなく現場から逃走。この自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、外国籍の鄧洪鵬容疑者(42)が逮捕・起訴されました。事故は児童4人が重軽傷を負うという深刻な結果を招きました。

事故発生とその後の逃走劇

事故現場は三郷市の長閑な住宅街。突っ込んできた車により、近隣の小学校に通う小学6年生の児童4人が被害に遭いました。うち1人は右足甲を剥離骨折する重傷です。事故後、運転していたスキンヘッドの男は車を降り、子供たちに煩わしそうな表情で「ここは邪魔だから別の場所へ移動する」と片言で告げ、再び車に乗って現場を後にしました。その場には、足から血を流す子供の姿もあったにもかかわらず、男と同乗者は通報や救護活動を一切行いませんでした。この逃走の瞬間は、周辺の防犯カメラに鮮明に捉えられていました。

飲酒運転とひき逃げの疑いで逮捕された鄧洪鵬容疑者飲酒運転とひき逃げの疑いで逮捕された鄧洪鵬容疑者

事故車両の発見と驚きの車種

警察の捜査の結果、事故発生の翌日には現場から約2キロ離れた民家の駐車場で事故車両が発見され、押収されました。見つかったのは、英国ジャガー・ランドローバー製の高級SUV「ディフェンダー」でした。オフロード性能が高く人気があり、中古車市場でも1000万円以上の高値で取引されることも珍しくない車種です。この高級車は、事故前からこの民家で度々目撃されていたといいます。

車両が発見された場所と同乗者の関与

車両が発見された民家は築33年の木造3階建てで、近隣住民によると東京の建設業者の寮として使用されていました。約5人の外国籍の住人がおり、SUVは3月頃から見かけるようになったとのことです。建設業者の取引先は、事故後、社長から「車に同乗していたのはうちの実習生だ」と打ち明けられたと証言しました。しかし社長は、「あんな車が寮に停めてあったなんて全く知らなかった」とも話していたといいます。事故翌日、警察は助手席に座っていたとされる25歳の男性を特定し、事情を聞いていましたが、運転していた男の行方は不明のままでした。建設業者の事務所を訪ねた記者に対し、別の実習生は「スキンヘッドの男も、ランドローバーも見たことがない。彼は実習生ではない。私たちではとてもああいった車には手が出ませんから」と語り、運転手の素性や関与について conflicting な情報が錯綜しました。

容疑者の逮捕と起訴

当初行方が分からなかった運転手の特定が進み、外国籍の鄧洪鵬容疑者(42)が逮捕されました。そして6月6日、さいたま地検は鄧容疑者を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪で起訴しました。一方、運転手の飲酒を知りながら同乗していたとして逮捕されていた男性(25)については、同日付で不起訴処分となりました。下校中の児童を巻き込み、危険運転の末に逃走した今回の事件は、地域社会に大きな衝撃を与えました。

出典

週刊文春(初出:「週刊文春」5月29日号)
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