たつき諒氏『私が見た未来』予言騒動の真相 – 2025年7月大災害説、作者が語る真意

元漫画家・たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』が、電子版を含めて100万部を突破し、異例の注目を集めている。特に「2025年7月に日本で大災害が起きる」という夢日記の記述が世間の大きな関心を呼び、SNSやメディアで盛んに議論が交わされている。たつき諒氏の『私が見た未来』、そして2025年7月 災害というキーワードが独り歩きし、予言として広まる現象が起きている。

たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』の表紙。2025年7月の大災害予言で注目を集める。たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』の表紙。2025年7月の大災害予言で注目を集める。

書籍の原点と世間の関心が高まった経緯

もとの漫画単行本は1999年に朝日ソノラマから出版されたオカルト漫画作品集であり、長く絶版となっていた。しかし、本書に収められていた夢日記に関する描写が2020年頃から東日本大震災を“的中させていた”としてインターネット上で話題になり、テレビやその他のメディアでも取り上げられるようになった。これを受け、2021年10月にはたつき氏本人の解説を加えた『私が見た未来 完全版』が出版された。

『完全版』での新たな記述と国際的な広がり

『完全版』に新たに追加された解説の中で、たつき氏は「2025年7月に壊滅的な津波が日本を襲う」夢を見たと明かした。さらに、あとがきには「夢を見た日が実現化するならば、次にくる大災難の日は「2025年7月5日」」と具体的な日付が記されていたことが、関心を一層高めた要因とされる。この噂は日本国内に留まらず、香港や韓国、台湾など海外にも広がり、台湾では中国語版が出版される事態となった。香港では有名な風水師も日本での災害発生を予言したことから、日本への旅行を控える動きも見られたという。

専門家および当局の見解

一方で、専門家からはこの予言に対して「科学的根拠はない」との見解が示されている。気象庁長官も今月13日の会見で、こうした噂は「デマと考えられるので心配する必要は一切ない」と断言し、一蹴した。ただし、日本国内ではいつどこで地震や津波が発生する可能性もあることから、特定の予言に惑わされるのではなく、日頃からの防災への備えを確認することの重要性を呼びかけている。

作者に向けられる批判と新たな著書『天使の遺言』

社会的な波紋を呼んだことで、作者であるたつき氏に対して「不安を煽るな」「儲けたいのか」といった心ない批判も向けられている。しかし、こうした批判は必ずしも事実に即していないと指摘されている。たつき氏は今月15日に自伝『天使の遺言』(文芸社刊)を発売し、『完全版』の出版に至った詳しい経緯や、“7月に起こる津波の夢”について改めて自身の言葉で説明を行っている。

『完全版』出版の複雑な経緯と作者の真意

たつき氏によれば、もともと『私が見た未来』は予言を目的としたものではなく、自身の見た夢や体験を基にしたオカルト漫画作品であった。『完全版』に「7月に起こる大災害」の夢が加えられたのは事実だが、あくまで作者が見た夢の共有という意味合いであり、予言として発表したものではないという。たつき氏は『私が見た未来』の発売をもって漫画家を引退していたが、自ら作者だと名乗り出て真意を語り始めたのは、「なりすまし」が出現し、たつき氏の考えと異なる虚偽の情報や、『私が見た未来』の復刻版出版の話を進めていた事実を知ったためだったと明かしている。『完全版』は結果的に本人による出版となったが、短期間での作業であったため、たつき氏本人の意向が十分に反映されていなかった不本意な思いもあったと率直な胸中を吐露している。

特に「2025年7月5日」という記述についても、「言った覚えはあるが急ピッチの作業で書かれてしまった」と説明し、自身としては「夢を見た日=何かが起きる日というわけではない」と明確に否定している。

災害は予知できるものではなく、いつどこで発生してもおかしくないのが現実である。特定の情報に過度に反応するのではなく、常日頃から災害への意識を高く持ち、必要な備えをしておくことこそが最も重要だと言えるだろう。

Source link