パチスロ新機能「ボーナストリガー(BT機)」ユーザー評価は二分?専門家が解説

パチスロの新機能「ボーナストリガー」(以下、BT)を搭載した機種が、2024年6月2日からホールに導入され始めた。現在のパチスロ市場は、シンプルなゲーム性のノーマルタイプと、高い射幸性を持つAT機への二極化が進んでいる。このような状況下で、両者の中間的な役割を担うとして期待されるBT機に対し、ユーザーはどのような反応を示しているのか、その評価と課題を探る。

パチスロの現状とBT機の位置づけ

現在のパチスロ機種は、主にボーナスのみで出玉を増やす「ノーマルタイプ」と、小役のナビゲーションで出玉を増やす「アシストタイム(AT)」を搭載した「AT機」に大別される。パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏は、現在の市場傾向とBT機の位置づけについて解説する。

「ノーマルタイプは『ジャグラー』シリーズのように演出がシンプルで、射幸性が比較的低いのが特徴です。大きく負けることも勝つことも少ないタイプと言えます。一方、特にスマスロ(スマートパチスロ)が登場してからのAT機は、射幸性が非常に高く、ハイリスクハイリターンの機種が増加しました。1日に10万円近く負ける可能性もあれば、同額程度勝つこともあります。最近の人気の傾向は、この二極化が顕著で、適度な射幸性と出玉感を持つ機種が少なくなっている印象です。BT機は、まさにこの中間層の需要を狙って登場しました」

BT機は、基本的なゲーム性はノーマルタイプに近く、毎ゲームの抽選でボーナスフラグを成立させて出玉を増やす。ただし、ボーナスに連続性を持たせることで、従来のノーマルタイプよりも1回のボーナスで獲得できる出玉が多いのが特徴だ。一方で、BT機にはAT機能などを搭載できないというルールがある。

パチスロ新機能「ボーナストリガー(BT機)」を遊技するユーザーたちのイメージパチスロ新機能「ボーナストリガー(BT機)」を遊技するユーザーたちのイメージ

初導入機種と特に注目の「スマスロニューパルサーBT」

6月2日には、『スマスロニューパルサーBT』、『LBプレミアムうまい棒』、『翔べ!ハーレムエース』、『LBパチスロ1000ちゃんA』、『LBジャックポット』の5機種がBT機として初めてホールに導入された。中でも特に注目を集めているのが『スマスロニューパルサーBT』である。この機種は、パチスロメーカー山佐の看板機種『ニューパルサー』シリーズのBT機バージョンとして位置づけられている。

『ニューパルサー』は1993年に登場した4号機で、ボーナス当選時に出現する「リーチ目」を見抜くという独自の楽しみ方がある。このシリーズは古くからのファンが多く、比較的年齢層の高いユーザーからの支持が厚い傾向にある。

2024年6月導入の話題機種「スマスロニューパルサーBT」の遊技台2024年6月導入の話題機種「スマスロニューパルサーBT」の遊技台

「スマスロニューパルサーBT」ユーザーの多様な反応

今回導入されたBT機の中で最も設置台数が多い『スマスロニューパルサーBT』だが、この機種に対するユーザーの反応は、SNSなどで見ると少々辛口な意見も少なくない。例えば、〈波が荒くなって、余計に遊びにくくなった…〉、〈ニューパルと思わなければふつうに面白い〉、〈BT機というものに光は見えたんだけどニューパルではなかったなって思いました〉、〈おもろいのかどうかは置いといて、ビッグ300枚ってのがよかった〉といった声が見られる。

専門家が読み解くBT機の評価と今後の課題

藤井氏は、こうしたユーザー間の評価の違いについて、ファン層による嗜好の差が影響していると指摘する。「ノーマルタイプのコアなユーザーは、過度な演出を嫌い、出目でボーナス当選を察知することを重視する傾向があります。一方で、パチスロ歴が比較的浅いライトユーザーは、派手な演出や、現在の状況が分かりやすい親切な設計を好む傾向にあります」

『スマスロニューパルサーBT』の場合、ノーマルタイプファンからは「必要ない演出が多い」という意見があり、AT機慣れしたユーザーからは「演出がなさすぎて不親切だ」という声も聞かれる。BT機はノーマルタイプとAT機の中間層を狙う機能であるため、両者のテイストをミックスした機種になるのは自然な流れではあるが、その結果として「どっちつかず」という印象を与えてしまっている側面もあるようだ。

藤井氏は「今後ラインナップされているBT機の注目機種には、過去の人気シリーズのBT機バージョンが多く、今回と同様の反応が出てくる可能性も考えられます。BT機の開発においては、このあたりのバランス調整が非常に重要になってくるでしょう」と述べる。

一方で、「出玉の波が荒い」という意見があることは、ノーマルタイプと比較して出玉性能が高い、つまりBT機らしいスペックであることを示しているとも言える。この点は、BT機のメリットをユーザーに提示できている部分であり、今後のBT機の可能性を示す要素となり得る。

BT機は、既存のノーマルタイプとAT機の間隙を縫う存在として登場し、一定の注目を集めている。初導入機種、特に『スマスロニューパルサーBT』に対するユーザーの反応は多様であり、BTという新機能の可能性と同時に、異なるファン層の期待に応えることの難しさを浮き彫りにしている。今後のBT機の開発・導入において、これらの課題をいかに克服し、BT機ならではの魅力を打ち出せるかが、市場での定着に向けた鍵となるだろう。