食べログ、過去最高業績を更新 なぜ好調維持できるのか? ネット予約と手厚い支援が鍵

飲食店予約サイト「食べログ」が好調を維持し、業績を伸ばしている。2025年3月期の売上高は約335億円と過去最高を更新し、前年同期比20.2%増を記録した。月間利用者数は1億10万人、月間ページビューは24億9477万PV、掲載店舗数は87万店(いずれも2025年3月現在)に達するなど、主要な指標も順調に推移している。

しかし、近年ではInstagramやGoogleマップなど、飲食店を探す際の選択肢が増加している影響もあり、一部からは「食べログ離れ」といった声も聞かれる。また、過去には評価基準を巡る問題で飲食店との訴訟に発展し、信頼性について疑問が投げかけられたことも記憶に新しい。こうした状況にもかかわらず、なぜ食べログは過去最高の業績を更新し続けているのだろうか。

好調の最大の要因は、ネット予約サービスの利用数増加にある。食べログのビジネスモデルは、ネット予約が成立するごとに飲食店から手数料を得る仕組みであり、予約件数の増加が直接的に売上向上につながる。近年、食べログのネット予約数は右肩上がりの成長を続けており、前年比130~140%のペースで伸びているという。

「都心部では、食べログが最も多くの飲食店がネット予約に対応しているサービスになっている」と、カカクコムの食べログカンパニー長である鴻池拓氏は現状への手応えを語る。

飲食店向けのデジタルマーケティング支援を行うCOLLINS社(東京都中央区)が実施した調査によると、飲食店予約をする際に「ネット予約を希望する」と回答したユーザーは77.7%に上る。さらに、予約時に最も利用されているサービスは「食べログ」(60.5%)という結果が出ており、「食べログ離れ」という指摘とは異なる傾向が示されている。

食べログの好調を支えるネット予約サービスのイメージ食べログの好調を支えるネット予約サービスのイメージ

予約サービスの急成長を牽引する飲食店サポート

コロナ禍を契機に、飲食店におけるネット予約の普及が加速したことも大きな追い風となっている。この流れを捉え、食べログは飲食店向けのサービス設計を見直し、従来の月額固定費制に加え、ネット予約受付件数に応じた従量課金制を導入。これにより、飲食店がネット予約をより導入しやすい仕様へと変更した。

さらに、ネット予約サービスの設定や運用に関するサポート体制を強化するため、専門の部隊を拡充している。月間で1000件を超える新規契約を結ぶ飲食店に対し、店舗ごとにきめ細やかなサポートを提供。大人数向けのウェビナーなどでまとめて対応するのではなく、対面またはオンライン形式で必ず個別ミーティングを実施しているという。

コストがかかる個別対応にあえてこだわる理由について、鴻池氏は「中途半端な設定では予約が入らなかったり、店舗のオペレーションに支障が出たりするため」と説明する。飲食店の「ネット予約をどのように受け付けたいか」「どのような方針を持っているか」を丁寧にヒアリングし、最適な設定を行うことが、結果として飲食店の売上向上、ひいては食べログの予約数増加につながると狙いを語る。

こうした手厚い支援は既に具体的な成果を生み出している。例えば、食べログが提供するオンライン予約台帳サービス「食べログノート」への切り替えを支援した結果、ネット予約数が平均で30%増加しており、中には2倍に増加した事例もあるという。

飲食店ネット予約に利用される食べログアプリの予約画面飲食店ネット予約に利用される食べログアプリの予約画面

結論として、食べログが過去最高の業績を更新し続けている背景には、ネット予約市場全体の拡大に加え、飲食店がネット予約を導入・運用しやすいようなビジネスモデルへの転換、そして何よりも個別のニーズに対応した手厚いサポート体制の構築があると言える。これらの取り組みが、競争が激化する中でも多くの飲食店とユーザーに選ばれ続ける要因となっている。

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