2025年産米、出荷価格が60キロ2万円台へ 高止まりする小売価格の見方

地域のJAがコメ農家に提示する2025年産のコメ出荷価格が、60キロ当たり2万円台に乗る見通しであることが26日、明らかになった。これは、昨秋に中心だった24年産の銘柄米の価格、60キロ1万円台後半を上回る水準となる。農家への提示額が上昇している背景には、民間のコメ業者との集荷競争が激化していることがある。この価格動向を受け、業界内ではスーパーの店頭におけるコメの小売価格が「5キロで4千円前後」と高止まりするとの見方が広がっている。

高騰の背景にある集荷競争

2025年産米の出荷価格上昇は、主に集荷を巡る農協(JA)と民間業者との競争激化が要因だ。農家はより有利な条件で販売できる業者を選ぶため、JAは競争力を維持するために提示価格を引き上げざるを得ない状況となっている。この競争が、結果として農家が受け取る概算金や最終的な出荷価格の上昇につながっている。

共同通信が全国10県のJAなどを対象に行った聞き取り調査で、各地の具体的な動きが判明した。

JAおおいたが2025年産米の概算金保証額決定を知らせるチラシJAおおいたが2025年産米の概算金保証額決定を知らせるチラシ

各地の具体的な価格提示状況

岩手県では、主要銘柄である「ひとめぼれ」などの25年産米について、60キロ当たり2万3千円での買い取り価格を提示。茨城県のJAも、最低価格を2万円と定めた。両県では今年から新たな試みとして、岩手で3年間、茨城で5年間という長期契約が可能な仕組みを導入し、農家の安定収入を支援する動きも見られる。

また、新潟県の一般コシヒカリ(1等、60キロ)は2万3千円が提示され、これは24年産の概算金当初額と比較して6千円の大幅な引き上げとなる。佐賀県の主力品種「さがびより」も60キロ2万3千円、福島県の一部の産地ではコシヒカリが60キロ2万5千円という高値を提示している。これらの地域での価格上昇は、全国的な米価の上昇傾向を強く示している。

スーパーの店頭に並べられた様々な銘柄のコメ袋、高止まりする小売価格を示唆スーパーの店頭に並べられた様々な銘柄のコメ袋、高止まりする小売価格を示唆

消費者への影響と今後の見通し

農家への出荷価格上昇は、最終的に消費者が購入する小売価格に転嫁される可能性が高い。既に一部の業界関係者からは、スーパーなどでの5キロ当たりのコメの価格が「4千円前後」で高止まりするとの懸念が出ている。

2025年産米の予想出荷価格、地域ごとの概算金情報まとめ2025年産米の予想出荷価格、地域ごとの概算金情報まとめ

2025年産米の価格が農家にとって有利な水準となる一方で、消費者にとっては家計への負担が増加する可能性がある。今後の市場動向や各JA、流通業者の価格設定が注目される。