東京都議会議員選挙における自民党の歴史的惨敗は、間近に迫る参議院選挙に向け、党内に深刻な危機感をもたらしている。特に、都議選と参院選が重なる12年に1度の「巳年選挙」の歴史的連動性を踏まえ、「このままでは参院選も惨敗だ」との悲観論が党内に広がり、自民党の選挙戦略に大きな影を落としている。
厳しい情勢の中、参院選勝利を目指し集まる自民党議員と支持者
都議選惨敗と参院選への「巳年選挙」ジンクス
参議院の武見敬三会長は都議選期間中、「都議会議員選挙と、参議院選挙が同時に行なわれる12年に1回の年」「都議会選挙で勝たずして、参議院選挙で勝った歴史はない」と述べ、両選挙結果の連動性を強調した。実際、都議選と参院選が重なる「巳年選挙」では、過去にその傾向が見られる。例えば、消費税導入やリクルート事件の逆風下にあった1989年の巳年選挙では、都議選大敗がその後の参院選惨敗、与野党逆転という歴史的敗北と当時の宇野宗佑総理退陣に繋がった。そして今回の都議選もまた、政治団体を巡る問題などが影響し、自民党は無所属系含めわずか21議席と、過去最低の当選者数に終わった。これは武見氏が指摘した歴史的なジンクスをなぞる結果であり、参院選への危機感を募らせている。
外れた「楽観的」情勢調査の予測と党内の困惑
この壊滅的な都議選結果を受け、自民党内からは驚きと困惑の声が上がっている。ある中堅参院議員は「都議選で40議席近くとれると言っていたのが、フタをあけてみれば21議席。いったい、あの調査はなんだったのか」と不満を露わにした。この「あの調査」とは、5月下旬に永田町で流布した自民党の情勢調査を指す。その調査では、無所属系を含め38議席の獲得が見込まれていたという。当時の党幹部もこの調査を根拠に「都議選も参院選もそう負けない」と楽観的な見通しを語り、石破茂総理の「内閣不信任決議案が出れば即解散」といった強気な姿勢が報じられたことも、楽観ムードを後押しした可能性がある。しかし、改選を迎える参院候補者からは「政権浮揚の材料もないのに、こんなにとれるとは思わない」との疑問の声が上がり、選対委員長経験者も「自民調査が当たったことはほとんどない」と、当初から懐疑的な見方をしていた。
都議選結果が覆した自民党の選挙戦略
前出の中堅参院議員は、今回の都議選惨敗の背景には、党幹部や石破総理が甘い情勢調査を過信し、「いざ選挙になれば勝てる」と考えて政権運営を進めていた節があると分析する。小泉進次郎農水相による政府備蓄米放出など、一時的に支持率の下げ止まり傾向が見られたことも、こうした楽観論に拍車をかけた。そのため、物価高対策として有効視される消費減税には一貫して後ろ向きな姿勢をとり、2万円の現金給付といった限定的な公約で選挙を乗り切れると判断した。しかし、都議選での歴史的大敗は、こうした石破政権が描いていた選挙戦略を根本から覆し、その有効性に深刻な疑問符を突きつける結果となった。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/d74d6ef6bf4d0a2b3eb214c6e20019edc6ba674a