【勘違い脳のトリセツ】自分は平均以上?!認知バイアスの罠から抜け出す方法

電車で席を譲らない…自分では気づかない「認知バイアス」の正体とは? 私たちは日常生活で、無意識のうちに脳のクセ、つまり「認知バイアス」に陥っています。自分では気が利いているつもりでも、実は周囲からは「配慮が足りない」と思われている…なんてことも。本記事では、脳科学の視点から、認知バイアスの実例と、その対処法を分かりやすく解説します。

認知バイアスとは?

認知バイアスとは、脳が無意識のうちに情報を歪めて解釈してしまう現象のこと。 これは誰もが持っている脳のクセであり、必ずしも悪いものではありません。しかし、過度なバイアスは、誤った判断や人間関係のトラブルにつながる可能性も。 例えば、ダニング=クルーガー効果をご存知でしょうか? 能力の低い人ほど自己評価が高くなる傾向があるというもので、まさに「気が利かない人は自分の気の利かなさに気づいていない」状態です。

電車内の様子電車内の様子

運転、ユーモア…身近に潜むバイアスの実例

ダニング=クルーガー効果は、ユーモアのセンスや運転技術など、様々な場面で見られます。例えば、ある調査では、70%の人が「自分は平均以上の運転技術を持っている」と回答したそうです。統計的に見て、これは明らかにおかしいですよね? 東京大学薬学部教授の池谷裕二先生によると、能力の低い人ほど、自分の能力を過大評価し、他人の能力を過小評価する傾向があるとのこと。

選択肢の多さは吉と出るか凶と出るか?

ビジネスシーンでも、認知バイアスは大きな影響を与えます。例えば、「おとり効果」。3つの価格帯の商品を用意することで、真ん中の価格帯の商品が売れやすくなるという現象です。 一方で、「選択肢過多効果」も存在します。選択肢が多すぎると、消費者は混乱し、購買意欲が低下してしまうのです。 最適な選択肢の数は、商品やターゲット層によって異なりますが、消費者の心理を理解することが重要です。

努力は報われる?コントラフリーローディング効果

動物実験で興味深い現象が観察されています。「コントラフリーローディング効果」と呼ばれるもので、動物は苦労して手に入れた餌を好む傾向があるというものです。 これは人間にも当てはまり、努力して手に入れたものほど、価値を感じやすいのです。 楽して手に入れたものよりも、苦労して手に入れたものの方が、満足感や達成感が大きいのでしょう。

上流階級バイアス:地位とモラルの関係

意外なことに、「社会的地位が高い人ほどモラルが低い」という傾向があるという研究結果も。カリフォルニア大学のピフ博士らの研究によると、高級車に乗っている人ほど、交通ルールを守らない傾向があることが分かりました。 これは「上流階級バイアス」と呼ばれ、地位が高いほど、自分の行動を正当化しやすい傾向があると考えられています。

認知バイアスを理解し、より良い人間関係を築くために

認知バイアスは、人間関係にも影響を及ぼします。自分のバイアスを理解することで、誤解や衝突を避けることができるでしょう。 また、他人のバイアスを理解することで、相手の行動をより深く理解し、寛容になることができるはずです。 認知バイアスは、人間の思考のクセであり、完全に無くすことはできません。しかし、その存在を意識することで、より客観的な判断を行い、より良い人間関係を築くことができるでしょう。 池谷裕二先生の著書『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』(講談社ブルーバックス)では、様々な認知バイアスが詳しく解説されています。 自分自身の思考のクセを知り、より豊かな人生を送るために、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。