6月24日に放送されたフジテレビ系の夕方のニュース番組『Live News イット!』(以下、『イット!』)で、MCを務める青井実アナウンサー(44)が見せたある振る舞いが波紋を広げている。大規模な災害報道直後の出来事であったため、視聴者からは厳しい批判の声が上がっている。
この日の『イット!』では、ギリシャのヒオス島で発生した大規模な山火事に関するニュースが取り上げられた。エーゲ海北部に位置するヒオス島は、美しい自然と石造りの街並みで知られる人気の観光地だが、22日に島中心部で火災が発生。強風にあおられ、火は瞬く間に森や農地に燃え広がった。400人以上が消火活動にあたるも作業は難航し、23日には非常事態が宣言されるに至った。
番組では、懸命な消火活動にあたる消防士たちの姿や、避難を余儀なくされる住民たちの様子を捉えた取材映像をVTRで放送した。さらに、ギリシャ気候危機・市民保護相のケファロギアニス氏が、複数の場所で同時に火災が発生している状況に触れ、「疑わしい活動について議論する必要がある」と放火の可能性に言及したコメントも紹介された。
「当局は24日も一部地域に避難指示を出すなど、懸命の消火活動が続いています」というナレーションでVTRが終了し、スタジオに映像が切り替わったその瞬間だった。
そこには、前のめりになり腹を抱えて笑っている青井アナウンサーの姿が映し出されていたのだ。カメラが自分に切り替わったことに気づくと、彼はすぐに表情を引き締め、お天気中継へと切り替えていた。VTRの合間にスタッフと談笑しており、想定外のタイミングでカメラが戻ってきてしまい、準備ができていなかったものとみられる。
フジテレビ『Live News イット!』でキャスターを務める青井実アナウンサー
視聴者から厳しい批判の声
しかし、大規模な災害という深刻なニュースを報じた直後の出来事だっただけに、青井アナウンサーの笑顔に違和感を覚えた視聴者は多く、インターネット上では批判的な声が相次いだ。
- 「放送時間中に気を抜くなんて、仕事を軽視しているとしか思えない。不快感しかない」
- 「こんな悲惨なニュースの最中に、笑い話をするような現場の環境が理解できない」
- 「本番中に気を抜くべきではない。被害に遭われた方々も嫌な気持ちになるだろう。放送が終わってからやるべきだ」
- 「笑えてきたとか、フジテレビはこういうことが定期的に起きるな」
といったコメントが見られた。
フジテレビの過去の炎上騒動との関連
今回の件は、フジテレビに対する世間の厳しい目とも無関係ではないだろう。昨年末から取り沙汰されている中居正広氏を巡るトラブル以降、過去の放送事故や失態が再び話題に上ることが増えている。その中でも、特に2011年の東日本大震災発生時に、『東日本大震災報道特別番組』内で当時の菅直人首相の会見を中継した際、「あー笑えてきた」というスタジオの声が誤って放送に乗ってしまった“音声混入事件”は度々引き合いに出される。
フジテレビは約1週間後に謝罪し、「音声機器のトラブルをリカバーしようとした技術スタッフの人為的ミス」と説明したが、誰の発言かを明確にしなかったこともあり、大きな波紋を呼んだ。こうした過去の出来事があるため、フジテレビの報道姿勢そのものに疑問を呈する声も上がりやすくなっている側面がある。
青井アナ自身の過去の謝罪、そして今後の行方
さらに、当事者が青井アナウンサーであったことも、炎上の拡大に拍車をかけているように感じられる。「週刊女性PRIME」の記事によれば、フジテレビは4月9日に青井アナウンサーについて「同番組(『イット!』)で勤務する社員及びスタッフに対する不適切な言動があった」と発表している。青井アナウンサーは同日放送の『イット!』内で、「言葉を扱う仕事についているものとして、相手に言葉を使って伝えているものとして、あってはならないことだと強く感じております」と神妙な面持ちで謝罪していた。
この過去の謝罪もあり、今回の「生放送中の笑顔」がより批判の対象となりやすかったと考えられる。「イット!」ではすでに次の人事に向けて動き出しているとの報道もあり、青井アナウンサーは早ければ7月、遅くとも秋の番組改編時にはMCを更迭される可能性が高いと噂されている。
自身にも所属するテレビ局にも逆風が吹く中で起きた今回の出来事は、ニュースキャスターとしての危機管理能力や、放送に対する心構えが問われる結果となった。