6月24日トーハンの週間ベストセラーが発表され、ノンフィクション・ライトエッセイ第1位は『天使の遺言』が獲得した。第2位は『ほどよく孤独に生きてみる』、第3位は『ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ』となった。
【画像】「それだと売れない。こうした方が売れる」出版社の“商業主義”に…たつき諒さんが自伝を自費出版した理由
1位に初登場の『天使の遺言』は2011年の東日本大震災を“予言”したと話題を呼んだ『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)の著者・たつき諒さんによる自伝だ。「私が見た未来」は東日本大震災だけでなく、2025年7月に起こるとされる“大災難”を予言しているとして近年再注目を集めているが、著者はその予言の商業主義的でセンセーショナルな取り上げ方に納得できず、「真実を残したい」との思いから本書の刊行を決意したという。
7月が近づくにつれ、「私が見た未来」をめぐる報道が相次いでいる。海外では訪日客の減少に影響しているとの指摘もあり、6月13日には気象庁の野村竜一長官が「地震の日時を特定することはできない。心配する必要はない」との公式見解を発表。ヤフートピックスでは「災害予言の漫画家 日付の特定否定」の見出しで産経新聞の記事が配信された。
著者は同紙の取材に《皆様が高い関心をお寄せいただいていることは、防災意識が高まっている証拠であり、前向きに捉えております》とコメント。文芸社のウェブサイトでも《今はSNSなどでニセ情報が拡散されやすい時代です。むやみに恐れるのではなく、防災意識を高め、日常的に備えておくことが大切だと思っています》と語っている。“予言”を信じるかどうかはさておき、本書が防災について考える機会となることは確かだろう。
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1位 『天使の遺言』 竜樹諒[著](文芸社)
漫画家生活最後の記念に出版した『私が見た未来』が、20年以上の時を経て世間の注目を浴びることとなった。それは、本の表紙に「大災害は2011年3月」と書いたから。ピタリと予言したことで、作者たつき諒はカリスマ的な有名人となり、ニセモノまで現れる事態に──。「真実を残したい」という思いから自伝の出版を決意した作者が、生い立ちから目に見えない体験まで誠実に綴った記念碑的一冊。(文芸社ウェブサイトより)