スペインのペドロ・サンチェス首相は26日、パレスチナ自治区ガザ地区の「壊滅的なジェノサイド(集団殺害)状況」を非難し、欧州連合(EU)に対しイスラエルとの連合協定を即時停止するよう強く求めた。これは、2023年のイスラム組織ハマスによる越境攻撃以降続くイスラエル軍のガザ攻撃に対する、これまでの同首相の批判の中で最も強いものだ。
EU報告書が指摘するガザの人権状況
サンチェス首相は、ベルギーのブリュッセルで開催されたEU首脳会議での記者会見で述べた。同首相は、EUの外務省にあたる欧州対外活動庁(EEAS)による最近の人権状況調査報告書が、「ガザで次々と明らかになっている壊滅的なジェノサイド状況」を取り上げていると強調した。
ガザ状況に関するEUの対イスラエル協定停止を要求した、ブリュッセルでの記者会見でのスペインのペドロ・サンチェス首相
報告書が示すイスラエルの義務違反
先週発表されたこの報告書は、イスラエルがEUとの貿易関係の基盤である連合協定に基づく人権義務に違反している「兆候」があると指摘している。具体的な例として、イスラエルによる封鎖がガザへの人道支援物資搬入を阻んでいること、多数の民間人犠牲者が出ていること、ジャーナリストへの攻撃、そして戦争による大規模な避難と破壊を挙げている。
「火を見るより明らか」な違反と「二重基準」への批判
サンチェス首相は、イスラエルが人権義務に違反していることは「火を見るより明らか」だと断言し、EUはイスラエルとの連合協定を「即時」停止すべきだと強く主張した。さらに、EUがウクライナ侵攻を巡りロシアに対し18回もの制裁を課したにも関わらず、イスラエルのガザ攻撃に対応しないのは「二重基準」であり、連合協定の停止すらできないのは「理解に苦しむ」と批判した。
協定停止実現への道のり
ただし、EU・イスラエル間の連合協定を即時停止するためには、加盟国全ての全会一致が必要となる。現在、加盟国間で意見が大きく割れているため、この措置の実現は事実上不可能だと見られている。
結論
ペドロ・サンチェス首相による今回の発言は、ガザ地区の深刻な人道状況と人権侵害に対する国際社会、特にEU内での懸念の高まりを示すものだ。しかし、EU内の政治的な不一致により、同首相が求めるイスラエルとの連合協定即時停止が現実となる見込みは薄い状況が続いている。
参照
https://news.yahoo.co.jp/articles/a4b32ec16dec052cb91ae77481768b586b291d68