岩屋外相、NATO夕食会欠席の舞台裏 「首脳のみ」説明と日韓豪の対応

岩屋毅外相は27日の記者会見で、オランダ・ハーグで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせた夕食会を欠席した理由について説明した。オランダ側から「首脳のみ出席可能」と説明を受けたためだという。しかし、同様に首脳の出席を見送った日韓豪のパートナー国である韓国と豪州の閣僚は夕食会に出席しており、対応が分かれたことが注目されている。

岩屋毅外相、NATO関連夕食会欠席の理由を語る会見にて岩屋毅外相、NATO関連夕食会欠席の理由を語る会見にて

経緯:特別会合中止と閣僚級参加へ

日韓豪はNATOのインド太平洋パートナー(IP4)として位置づけられている。当初、この首脳会議の機会に、石破茂首相ら関係国首脳とトランプ米大統領による特別会合が予定されていた。しかし、トランプ氏が直前に不参加を通告したため、日韓豪の各首脳は出席を取りやめ、岩屋氏ら閣僚級の参加に切り替わっていた。

日本の判断:「首脳のみ」との説明を尊重

日本政府は、首相の欠席が確定した際、オランダ側に出席条件を改めて確認した。その際、「首脳のみ」という回答が再度得られたため、岩屋氏は「主催国の考えを尊重し、出席しないことにした」と説明している。

韓国・豪州閣僚の出席と背景

一方、韓国の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長と、豪州のリチャード・マールズ国防相兼副首相は、いずれも夕食会に出席した。魏氏はこの夕食会の場で、トランプ大統領と接触したことが報じられている。

NATO首脳会議夕食会開始前の記念撮影、岩屋外相の姿は見えずNATO首脳会議夕食会開始前の記念撮影、岩屋外相の姿は見えず

なぜ韓国と豪州の閣僚が夕食会に出席したかは明確ではない。しかし、韓豪首脳はカナダで先に開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)の場でトランプ氏との首脳会談を模索していたものの、トランプ氏がサミット初日で帰国したため実現しなかった経緯があり、オランダでの夕食会でトランプ氏との接触機会を探った可能性も指摘されている。一方、石破首相はG7サミット初日に短時間ながら会談を行っている。

岩屋外相のNATO関連夕食会欠席は、主催者側の説明尊重によるものだが、パートナー国である韓国・豪州の閣僚が出席したことで、その対応の違いが注目された。外交上の細かなプロトコルと、各国の戦略的な動きが交錯する一場面と言える。

出典